北朝鮮が3週連続で弾道ミサイル発射、日本のEEZに落下

2017年5月29日(月)18時33分

[東京/ソウル 29日 ロイター] - 北朝鮮は29日朝、弾道ミサイル少なくとも1発を同国東岸から発射した。ミサイルは約450キロ飛び、日本の排他的経済水域(EEZ)内の日本海に落下したとみられる。北朝鮮のミサイル発射は3週連続。今回は、先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で北朝鮮問題を議論した矢先だった。

日韓両政府によると、弾道ミサイルは午前5時40分ごろ、北朝鮮東岸の元山付近から発射された。日米韓とも、短距離の「スカッド」の可能性があると推定。高度100─120キロに達し、約6分間飛行した。日本政府は島根県の隠岐諸島から約300キロ、新潟県の佐渡島から約500キロのEEZ内に落下したとみている。

韓国軍は、発射されたミサイルがこの1発だけだったかどうか情報の収集と分析を続けている。合同参謀本部の報道官は「ミサイルの数は現時点の評価で少なくとも1発だが、今も分析している」と述べた。

今回の発射は、26─27日のG7で北朝鮮への圧力を強めることで一致した直後。日本は厳重に抗議した。安倍晋三首相は官邸で記者団に対し、「国際社会の度重なる警告を無視して挑発を続けていることは断じて許すことはできない」と述べた。その上で、「北朝鮮を抑止するため、米国とともに具体的な行動を取って行く」と語った。

中国の外交トップ、楊潔チ国務委員が29日から来日しており、日本政府は北朝鮮への対応を協議したい考え。中国外務省は同日夕、ミサイル発射に反対する声明を発表し、北朝鮮に対話を呼び掛けた。その一方、関係各国にも自制を求めた。

北朝鮮が弾道ミサイルを発射するのは3週連続。14日の中距離弾は初めて高度2000キロ超に到達、21日には固体燃料を使った別の中距離弾を発射した。

推定射程500キロのスカッドは過去に何度も試射しており、今回も「特異な飛翔ではなかった」(稲田朋美防衛相)とされるが、大陸間弾道ミサイル(ICBM)開発に向け、新たな能力を試した可能性もある。韓国の慶南大学極東問題研究所のKim Dong-yub氏は、「別のエンジンをテストしたのかもしれないし、ICBMの一段目のメーンエンジンを検証したのかもしれない」と指摘した。

*内容を追加しました。

(久保信博、梅川崇、Jack Kim、Ju-min Park、Matt Spetalnick)

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