米予算教書、共和党内の財政運営巡る意見分裂生む恐れも

2017年3月13日(月)13時05分

[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米大統領は、16日に2018会計年度の予算教書を議会に提出する。これをきっかけに、先の医療保険制度改革(オバマケア)問題に続き、財政運営を巡っても与党・共和党内の意見が分裂する可能性がある。

ホワイトハウスはこれまで、トランプ氏の予算案の詳しい内容をほとんど明らかにしておらず、はっきりしているのは国防費を540億ドル増額し、それ以外の裁量的支出を同程度の規模で削ろうとしているということだけだ。

ただ関係者によると、国務省や環境保護局(EPA)などは大規模な予算削減に備えるよう求められているという。

共和党内保守派は、国防予算ねん出のために他の分野を削るトランプ氏の提案を歓迎するとみられる。インディアナ州選出で下院予算委員会のトッド・ロキタ副委員長は常に財政支出抑制を最優先に取り組むことをモットーとしており、トランプ氏の予算案に関してこれまで聞いた内容に満足している。また保守強硬派の中には、さらなる歳出削減が必要との主張も存在する。

ただ、穏健派からは、大統領に反対するか、それとも障害のある児童への政府補助など、国民の人気が高い政策向けの予算削減を支援するかの選択を迫られる事態を迎えるのを心配する声が出ている。

オハイオ州選出のトム・コール下院議員は財政赤字削減を支持しながらも、選挙区内の大学の研究施設が国立衛生研究所の予算削減のあおりを受けかねないなどと指摘。同州を地盤とするロブ・ポートマン上院議員も、五大湖の浄化プログラムの予算が大きく削られるとの報道について懸念を表明した。

議会共和党幹部の1人は、下院議員の間には大統領案への支持を迫られているが、結局上院に拒絶されてしまうのではないかとの不安も出ている、と話した。上院における共和党の勢力は半数をわずかに上回る程度にとどまっている。こうした中で大統領案が上院を通過しなかった場合、共和党下院議員は、国民に評判の良い政策の予算を減らす提案に賛成した記録が残れば、来年の中間選挙に響くだけで何の成果もないことになる。

同党のマコネル上院院内総務は、国務省の予算を3分の1減らす提案はとうてい上院で可決されそうにない、と述べた。

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