インタビュー:米大統領が核増強を明言、中国の為替操作を批判

2017年2月24日(金)12時01分

[ワシントン 23日 ロイター] - トランプ米大統領は23日、ホワイトハウスでロイターとのインタビューに応じ、米国が核兵器能力で他国に劣ることはないとして核備蓄を増強する考えを表明した。トランプ氏が核兵器について発言するのは就任以来初めて。

同氏は「私は核のない世界を誰よりも見たいと思っている人間だ。しかし、それが友好国であっても、他国に劣るつもりは決してない。核兵器で後れを取ることは決してない」と明言した。

オバマ政権下のロシアと締結した新戦略兵器削減条約(新START)は、米ロが2018年2月までに配備済みの戦略核弾頭を1550発に削減することを定めている。

トランプ氏はインタビューで、新STARTが「一方的な協定だ」と批判。「米国が行ったまずい協定の一つだ。STARTであっても、イランとの合意であっても、われわれは良い協定を作り始める」と強調した。

また、ロシアが地上発射型の巡航ミサイルを配備したことについて、1987年の中距離核戦力全廃条約に違反するとして批判。ロシアのプーチン大統領に問題を提起するかとの質問には、「われわれがもし会談すれば」そうすると述べた。プーチン氏との会談予定はまだないとも答えた。

一方、北朝鮮の弾道ミサイル実験については「非常に怒りを覚えている」と非難。日本や韓国のミサイル防衛システムを加速させるなど、さまざまな選択肢があるとした。

<中国の為替操作を批判>

また、トランプ大統領は、中国は為替操作の「グランド・チャンピオン」と表明。中国が人民元相場を操作しているという持論を「後退させてはいない」と強調した。

トランプ大統領は「私は彼ら(中国)を為替操作のグランド・チャンピオンだと考えている。私は持論を引っ込めてはいない」と語った。

トランプ氏は大統領選ではしばしば、中国が人民元を対ドルで低く抑えて輸出を促進、米製造業の職を「盗んでいる」と批判。ただ大統領就任初日に中国を為替操作国に認定するという約束は果たさなかった。

一方、トランプ大統領インタビューの数時間前、ムニューシン米財務長官はCNBCに対して、中国の為替政策については系統だった手法で分析すると表明。判断を下す準備はまだできていない、と強調した。

米財務省は近く中国を為替操作国に認定するのか、との質問に対して、ムニューシン長官は、米国の主要な貿易パートナーの為替政策を分析する際の通常のプロセスを踏む、と答えた。米財務省は毎年4月15日と10月15日に、外国為替報告書を公表することになっている。

<国境税は雇用促進>

議会共和党が推進している国境調整税については、雇用促進する可能性があるとしたが、明確に支持を表明することはしなかった。「(国境調整税は)米国で一段の雇用創出につながる可能性がある」と大統領はインタビューで指摘。

詳細には踏み込まず、「国境での何らかの課税は支持する」とし、「企業が国内に回帰し、工場を建設、そして多くの雇用を生み出すだろう」と語った。

大統領はこれまで国境調整税について「複雑過ぎる」と述べるなど、まちまちの考えを示している。

<EUを完全に支持>

統治機関として欧州連合(EU)について、トランプ大統領は「完全に支持する」と表明した。

またイスラエルとパレスチナの紛争を巡り、2国家という解決策を支持する姿勢を示した。ただ双方が満足する解決策が望ましいとも述べた。

トランプ氏は昨夏の英国のEU離脱決定を支持する姿勢を示していたことから、今回のEU支持発言を受けて一部の当局者の間には驚きの声が上がった。

トランプ氏は先月、EUについて「ドイツの乗り物」などと述べていた。

<中東問題は「2国家解決策」を>

イスラエルとパレスチナの紛争を巡り、トランプ大統領は2国家という概念の解決策が好ましいとの考えを示した。

米国は長年、中東和平の実現に向けイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を目指す方針を示してきた。

トランプ氏は今月15日、イスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で、2国家共存にこだわらない考えを示し、米政権の方針転換を示唆。国際社会の批判を浴びたが、今回の発言でこれを修正した格好だ。

今回の発言は、米国が中東和平実現への取り組み再開に向け行動を起こしたとしても、長年の和平交渉の柱である原則が放棄されないとのメッセージをイスラエル、パレスチナ双方と国際社会に送る可能性がある。

ただ、トランプ氏は最終的なパレスチナ国家樹立への米国のコミットメントを改めて確認するのは差し控え、「双方が満足する解決策で良い」と述べた。

*情報を追加しました。

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