英大手銀は17年前半の海外脱出準備、EU離脱で=銀行協会会長

2016年10月24日(月)11時00分

[ロンドン 22日 ロイター] - 英銀行協会(BBA)のアンソニー・ブラウン会長は国内大手銀行について、欧州連合(EU)離脱に向けた交渉を控え、2017年序盤に海外脱出する準備をしているとの見方を示した。オブザーバー紙に寄稿した。

中小銀行はクリスマス時期の前にも脱出を計画しているという。ブラウン会長は、公的・政治的な議論は「間違った方向にわれわれを導いている」と記した。

会長は「大半の大手銀行は、顧客へのサービスを確実に続けるためにどの事業を移転させる必要があるのかや、移転をいつまでに実行しなければならないか、そのための最適な方法は何か──という問題を解決するためのプロジェクトチームを立ち上げている」と説明した。

その上で「銀行経営者の手は『移転ボタン』の上で震えている。比較的規模が小さい銀行の多くはクリスマス前の移転を計画しており、大手銀行は来年の第1・四半期に(移転を)開始すると見込まれている」と説明した。

英銀は現在、EU加盟28カ国の顧客にアクセスできる「EUパスポート」の特権を認められているが、離脱によりこれを失うのではないかとの懸念を抱いている。

会長は、ハモンド財務相とデービス離脱担当相は「正しい主張をしている」と評価する一方、有力な離脱支持者の一部の見解に懸念を表明。これらの離脱支持者の間では、銀行に「パスポート」は必要なく、EU内と「同等の」規制を導入している国に単一市場へのアクセスを認めるEUの方針を銀行が頼りにできるとの見方があるという。

EUと同等の規制導入により単一市場へのアクセス確保を目指す手法について会長は、「パスポートの不十分な分身に過ぎず、サービスの狭い範囲しか対象になっていない」と指摘。「実質的に事前通告なく撤回される可能性がある上に、恐らくは英国が影響力を行使できない規則を受け入れなければならなくなるだろう」と主張した。

さらに、こうした手法では「大半の銀行に自行の事業移転をやめさせることはできない」と言い切った。

*内容を追加して再送します。

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