ブレグジットで対応誤れば欧州崩壊=独経済相

2016年8月30日(火)01時43分

[ベルリン 29日 ロイター] - ドイツのガブリエル経済相は28日、欧州連合(EU)が英国の離脱(ブレグジット)への対応を誤り、他のEU加盟国も英国の後を追うならば、欧州は「壊滅へ向かう」との見方を示した。

ガブリエル氏は、中道左派の社会民主党(SPD)の党首で、メルケル首相率いる中道右派キリスト教民主同盟(CDU)と連立を組んでいる。28日の記者会見で「ブレグジットは良くないことだが、一部の人たちが恐れているほどの経済的な打撃にはならない。それよりも心理的な側面の方が大きく、政治的には大問題だ」と述べた。世界は今、欧州を不安定な大陸と位置づけていると付け加えた。

さらに「間違ったやり方でブレグジットを成立させてしまえば、大変に面倒なことになる。英国が、欧州から、いわゆる良いところ取りをして、何の責任も果たさないということになるのを許してはならない」と述べた。

英国が6月23日の衝撃的な国民投票でEU離脱を決めて以来、ドイツの動向に注目が集まっている。EUに残る27カ国が危機を回避するための道筋を示すのドイツだとされているからだ。

ドイツのメルケル首相は28日、公共放送ARDとのインタビューで「国民投票の結果、英国がEU離脱を決めたことは、大きな影響を及ぼすとの見方でEU内では一致している」と述べた。「急いで動くより、われわれ27カ国が何を改善できるか考えるべきだ」とした。加盟国同士の会談はこうした方向で進んでいるとも付け加えた。

メルケル首相は24日の記者会見でも、残った加盟国はお互いの主張に慎重に耳を傾け、政策的な決断を急いではならないと述べている。「最初からやり方を誤り、お互いに耳を傾けなければ、つまり行動するためだけに動くということになれば、たくさんの過ちを犯すことになる」と述べた。

メルケル首相は過去1週間、欧州各国の首脳らと相次いで会談を行い、9月16日にブラチスラバで開かれる欧州首脳会議の地ならしをしてきた。首脳会議では英国の離脱決定で打撃を受けた欧州のてこ入れを目指す。

英国政府の報道官は今月中旬、メイ首相がEU離脱の正式な交渉を年内に始めることはないと述べた。

EU加盟国は、英国がEUとの将来の関係において、自らが必要とする部分だけを取る「欧州アラカルト」を選択することを拒んでいる。英国は、5億人の消費者を抱えるEUの単一市場へのアクセスを望む一方、EUの基本理念である人の自由な移動は受け入れない構えだ。

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