仏DCNS、印海軍向け潜水艦の情報流出は「経済戦争」

2016年8月25日(木)14時13分

[シドニー/パリ 24日 ロイター] - 仏政府系造船企業DCNSは24日、インド海軍向けに設計した潜水艦に関する機密情報などが大量に流出した問題で、同社が「経済戦争」の犠牲になった可能性があるとの見解を示した。

24日付の豪オーストラリアン紙が報じた情報流出を受け、インドは調査を開始した。

流出した情報には、インド海軍向け潜水艦6隻の戦闘能力に関する完全機密事項を記した2万2000ページを超える文書が含まれている。

インドのパリカル国防相は、記者団に対し「ハッキングがあったと理解している。何が起きたか解明する」と語った。

潜水艦はムンバイの国営造船所で建造中で、1隻目は年末までに稼働する見通しだった。

DCNSは、豪政府と次期潜水艦の共同開発契約を結んでおり、情報流出を受け、豪潜水艦開発プロジェクトにも安全保障上の懸念が生じている。

DCNSの広報担当者は顧客への被害状況について調査しているとし、行動計画を策定すると明らかにした。

また、今回の情報流出は産業スパイ活動の可能性があるとの見解を示した。

この問題が他の契約に影響を及ぼすかとの質問に対し、「競争はますます激化している。このような状況においては、あらゆる手段が用いられる可能性がある」と指摘。

「インド、オーストラリアに加え、他の見込み顧客が存在する。他国はDCNSについて当然の疑問を投げかける可能性がある。これは経済戦争のツールの一つだ」と語った。

現在ノルウェーやポーランドで潜水艦プロジェクトの受注を目指す同社は今年、日本の防衛省・三菱重工業・川崎重工業で作る官民連合と、独ティッセンクルップも参加した豪次期潜水艦をめぐる入札で受注先に選ばれた。

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