南シナ海領有権問題、中国と1年以内に協議=フィリピン大統領

2016年8月24日(水)03時33分

[マニラ 23日 ロイター] - フィリピンのドゥテルテ大統領は23日、南シナ海における領有権問題について、中国と1年以内に協議するつもりだと述べた。

9月に開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議では、中国側の主張を却下した国際仲裁裁判所の判断に触れない方針であることも明らかにした。

オランダ・ハーグの仲裁裁判所は7月、中国は南シナ海の南沙諸島(スプラトリー諸島)に対する「歴史的権利」を有しておらず、フィリピンの国家としての権利をさまざまな形で侵害してきたと判断した。

中国はこれに対し反発を強めており、ASEANの加盟10カ国とその「協議国」である中国と米国、日本が出席する首脳会議の場でこのことを取り上げれば、中国の反発が一層高まるとみられる。

ドゥテルテ氏はマニラの大統領府で記者団に対して「中国当局者を怒らせるよりも外交的対話を続ける方が良い」と述べた。

2国間協議の日程について質問されると「1年以内」と答えた。

中国は南シナ海のほぼ全域にわたって主権を主張している。南シナ海は年間5兆ドル相当の海運貿易の輸送路となっているほか、石油や天然ガス資源も豊富とされており、ブルネイやマレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムも一部の主権を主張している。

ドゥテルテ氏は首脳会議で仲裁裁判所の判断を取り上げるつもりはないとしながらも「誰かがこだわれば協議する。ただフィリピンは、話し合いの姿勢でいる」と付け加えた。

ドゥテルテ氏は、中国との正式な交渉が失敗に終わった場合について「その後はどうすればいいのだ」と自問した。

対中交渉の担当特使に任命されたラモス元大統領は8月初めに香港を訪問し、中国との関係再構築を図った。ラモス氏は平和と協力の道を中国と追求するために話し合いたいと伝えた。

ドゥテルテ氏は、係争領域であるスカボロー礁で、フィリピンの漁業者が漁業を再開できるように中国と協議したいとした。

2012年に中国はスカボロー礁を実効支配し、フィリピン漁船は近づけなくなった。これを受けフィリピンは国際仲裁手続きを申し立てた。

中国が主権を主張する南沙諸島の砂州や領有地では200カイリの排他的経済水域(EEZ)を認めることができないとする仲裁裁判所の判決を中国は無視し続けている。

中国が実効支配する南シナ海の砂州で建設活動を続けていることに対しては、領有権を主張する他の国のほか、フィリピンの同盟国である米国や日本も警戒感を示している。

中国は活動は平和な目的で行われているとし、自国の領内ではやりたいことをする権利があると主張している。

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