オバマ氏「米国危機論は現実にそぐわず」、トランプ氏演説に反論

2016年7月23日(土)07時41分

[ワシントン 22日 ロイター] - オバマ米大統領は22日、共和党の大統領候補ドナルド・トランプ氏が米国が危機的な状況に陥っているとの考えを示したことに対し、現実とは相容れないとして反論した。メキシコのぺニャニエト大統領との共同会見で述べた。

トランプ氏は前日の指名受諾演説で、違法移民や過激派「イスラム国」、人種差別に根ざした暴力など、米国が多大な脅威にさらされていると主張し、民主党からの政権奪還を訴えた。

これに対し、オバマ氏は米国民の大半にとって、現状は「小鳥はさえずり太陽の光が降り注いでいる」と指摘。

「米国は暴力がはびこり無秩序、かつ崩壊の寸前にあるとの考えは、大半の国民の経験とは一致しない」と述べた。

今年に入り、一部都市では殺害が増えているが、自身の就任期間中の7年半における暴力的な犯罪率は過去30━40年で最も低いとした。

オバマ氏はこの日、ホワイトハウスでぺニャニエト大統領と会談した。会談後の会見では「健全な経済を持つメキシコは、われわれが中米の安定と安全を構築するのに寄与できる。これは移民危機や麻薬問題への対応で、壁よりもはるかに多く成果をもたらす」とし、違法移民や麻薬の流入阻止に向け、メキシコとの国境沿いの壁建設を公約に掲げるトランプ氏を暗に批判した。

オバマ、ぺニャニエト両氏は、環太平洋連携協定(TPP)の交渉妥結を評価する立場を表明。TPPは北米自由貿易協定(NAFTA)で批判された問題点について対処していると主張した。

ぺニャニエト氏はまた、トランプ氏、および民主党の大統領候補指名が確定しているクリントン前国務長官のいずれが本選で勝利しても、誠意を持って共に建設的に取り組む考えを示した。

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