仏独、EU離脱決定後の英国への対応めぐり不協和音

2016年6月27日(月)10時37分

[パリ/ベルリン 26日 ロイター] - 英国が23日の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めたことを受け、EUの2大加盟国であるドイツとフランスの外相は週末に共通の立場を強調する共同声明を出したが、今後の英国への対応をめぐる両国の政治家の意見には大きな隔たりがみられた。

欧州の多くの当局者は、EU市民の支持を取り戻し、右派の大衆迎合主義の台頭を抑え、EUの崩壊を回避するにはEUの変革が不可欠と感じているが、ここにきて変革に向けた独仏の協調が困難な可能性が浮上している。

メルケル独首相は週末に行われた所属政党の会合で、離脱プロセス開始のための最初の手続きである「EU条約第50条」の行使を英国が急ぐ必要はないと発言。

ドイツ政府にとっては英国との関係悪化を避けることが最優先であり、国民投票結果の撤回を期待する声さえ一部である。

ドイツのある政府高官はロイターに対し「EUは英国に圧力を掛ける手段を持っているが、それを重視すべきではない。これまでの経緯を認識する時間が必要だ」と語った。

一方で、フランス政界からは英国とは即刻決別すべきとの意見が出ており、ブレグジットはフランスがEUでの主導権を回復する機会との指摘もある。

メルケル首相は27日、パリでオランド仏大統領、トゥスクEU大統領、イタリアのレンツィ首相と会談し、28日からのEU首脳会議より前に共同声明の策定に取り掛かる予定。

ドイツにとって欧州での優先課題は、難民の受け入れでの公平なメカニズムでの合意と、長期成長見通しの改善に向けた経済低迷国での構造改革促進の2点。

フランスでは、ドイツと異なり、オランド大統領の続投が期待できない上、極右勢力が台頭し、労働法改革への反対が続くなど国内政治が不安定な局面を迎えている。

フランスのフィヨン元首相は26日、「私見では、仏独の協調体制はもはや存在しない。われわれがドイツを信頼していないためだ」と発言。「オランド大統領が新たな欧州イニシアティブを打ち出すのは非常に難しいだろう。それには信頼が必要だ」と語った。

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