英EU離脱は連合王国のリスク、元首相2人が警告

2016年6月10日(金)01時54分

[ベルファスト 9日 ロイター] - 英元首相のトニー・ブレア氏とジョン・メージャー氏は9日、北アイルランドで講演し、英国が欧州連合(EU)から離脱すれば、北アイルランドの安定が脅かされ、スコットランド独立を求める声が高まり、英連合王国の結束が弱まるとの考えを示した。

メージャー氏はアルスター大学で行なった講演で、英国がEUから離脱すれば連合王国が解体する恐れがあると警告。スコットランドで残留が多数派となり、その他の地域で離脱が多数派となればスコットランドの独立の是非を問う国民投票実施の機運が高まるとし、「世界史上最も成功した連合が永久に失われる恐れがある」と述べた。

ブレア氏は国民投票の結果次第では1998年のアイルランド和平合意が揺らぐ恐れがあるとの懸念を示し、「23日の国民投票でEU離脱が決定されれば、北アイルランドの将来だけでなく、連合王国全体がリスクにさらされる」と指摘。

約30年に及んだ紛争を終結させた包括合意が得られたことの背景の1つに英国のEU加盟があったとし、「安定の基盤をリスクにさらすことは実に愚かしい」と述べた。

首相在任期間はメージャー氏が1990─97年、ブレア氏が1997─2007年。北アイルランド紛争では英国からの分離とアイルランドへの併合を求める少数派のカトリック系住民と、英国の統治を望む多数派のプロテスタント系住民が対立し、3600人以上の犠牲者が出た。両氏は和平への取り組みで重要な役割を果たし、1998年に包括和平合意が成立している。

*内容を追加しました。

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