インド、観測衛星の運用拠点をベトナムに建設 画像データ提供へ

2016年1月26日(火)13時24分

[ニューデリー/香港 25日 ロイター] - インドは人工衛星を追跡し、画像を受信するセンターをベトナム南部に設立する考えだ。インドが打ち上げる地球観測衛星から中国や南シナ海を含むアジア全域を撮影し、ベトナム政府から敷地の提供を受ける代わりに、こうした画像へのアクセスを提供するという。インド政府高官が明らかにした。

中国との領有権争いを続けるインド・ベトナム両国の結びつきが深まることになり、中国側の反発を招く可能性もある。

地球観測衛星は農業、科学、環境などの分野に利用されており、このセンターも民生用施設とされている。しかし安全保障専門家は、画像化技術の向上により、画像を軍事目的に使うことも可能だと話す。

特にベトナム政府は、南シナ海の領有権をめぐって中国との緊張が高まっており、高度な情報収集・監視・偵察技術を必要としていたと専門家は指摘する。

ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)の海上安全保障専門家コリン・コー氏は「軍事面から見ると、この動きは相当大きな意味持つのではないか。ベトナムにとっては重要な穴を埋め、インドにとっては範囲を拡大することになり、ウィンウィン(両者にプラス)のように見える」と述べた。

インド政府高官によると、インド宇宙研究機関(ISRO)が資金を出して、ベトナム・ホーチミン市に衛星追跡・データ受信センターを建設する。同国メディアは費用を約2300万ドルと試算している。

インドは54年の歴史を持つ宇宙計画を加速させている。毎月1基の衛星打ち上げを計画し、飛行の初期段階を追跡する地上管制センターをインド洋のアンダマン・ニコバル諸島やブルネイ、インドネシア東部のビアク島、モーリシャスに設置している。

ただ、他の海外拠点とは異なり、ベトナムの施設には地球観測衛星からの画像データを処理する設備があるという。

政府高官は、このセンターの運用開始時期は明らかでないとした。

ベトナム外務省は計画について認めたが、詳細は明らかにしなかった。

中国外務省の華春瑩報道官は定例記者会見で、中国はこの施設が「地域の協力を前進させるのにプラスの貢献をする」ことを期待すると述べた。

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