アングル:インド製薬や台湾ハイテク銘柄、アジア株急落でも孤軍奮闘

2015年9月3日(木)16時21分

[シンガポール 3日 ロイター] - アジアでは急落する株式市場から資金が流出しているが、投資家の間では、無差別な売りが浴びせられたことによって一部の銘柄の投資妙味が非常に高まっているとの見方が出ている。

クレディ・スイスの推定では、中国を除くアジア新興国における株式売却規模は、8月28日までの3カ月間でネットで198億ドルに達した。しかし、一部のファンドは混乱の陰に「買いの好機」が隠れているとみる。

インドではハイテク株や製薬株が上昇。安価な原材料を国内で調達し、主要市場である米国で販売することでドルを稼いでいる企業だ。資産運用の英ヘンダーソン・グローバル・インベスターズやBNPパリバ・インベストメント・パートナーズによると、情報技術(IT)のタタ・コンサルタンシー・サービシズやテック・マヒンドラがこれに該当する。

製薬株ではグレンマーク・ファーマシューティカルズ、ドクター・レディーズ・ラボラトリーズが堅調。最近3カ月でグレンマークは26%、ドクター・レディーズは22%上昇した。

インド以外でも、台湾のブラインドメーカー億豊綜合工業<8464.TWO>、韓国衣料メーカーのハンセ実業が同様の条件を満たしているという。億豊綜合工業は17%高、ハンセは63%高となっている。

ヘンダーソンはインドの製薬株でルピンを推奨。BNPによると、ルピンの売上は米国が43%を占めている。

オールド・ミューチュアル・グローバル・インベスターズ(香港)のアジア株式責任者ジョシュ・ クラブ氏は、円の対ドル相場が年初来で3.5%上昇したことにより、韓国の現代自動車や起亜自動車も恩恵を受けたと分析。「世界経済が成長すれば、販売台数は増えるだろう。もし悪化しても、ウォンがさらに下落することで日本に対する競争力は上昇する」と述べた。

<ターゲットを絞った買い>

ヘンダーソンでアジア株(日本除く)の責任者を務めるアンドリュー・ギラン氏は、「地産地消」型を中心とする消費財メーカーは為替の変動による影響を受けにくく、輸入品に対抗できる価格競争力もあると指摘する。同社は台湾のスナック菓子・飲料メーカー大手、統一企業株に投資しており、株価は年初来で18%上昇した。

台湾のハイエンドのテクノロジー企業は、商品の複雑さゆえにアジアにおける競合他社が少なく、有望株とみなされている。

BNPは、同じく台湾の漢翔航空工業に前向きな見方をしている。同社株の今年の下落率は1.2%にとどまった。

コロンビア・スレッドニードル・インベストメンツ(米ボストン)の上級ポートフォリオマネジャー、ダイスケ・ノモト氏は「投資妙味のある個別銘柄を買うには良い機会だとみている」と表明。「内部で資金を調達でき、バランスシートが強固で、もしくは米ドル建て債務が少ない企業ならさらに良いだろう」との見方を示した。

(Nichola Saminather記者 翻訳:田頭淳子 編集:加藤京子)

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ