幼児の溺死写真が大きな波紋、難民流入問題でEU協議へ

2015年9月3日(木)15時33分

[アンカラ(トルコ)/ローマ/ブダペスト/カレー(フランス) 2日 ロイター] - 地中海を渡って欧州を目指す難民の問題が深刻化するなか、ソーシャルメディア上では2日、トルコのリゾート地の砂浜で横たわる溺死した幼児の写真が大きな波紋を呼んでいる。

写真は同日、トルコの観光地ボドルム近郊の砂浜で撮影されたもので、赤いシャツを着た小さな男の子が波打ち際にうつぶせで横たわっている姿が写っている。別の写真では、険しい表情の警察官が小さな遺体を運んでいる。写真はツイッター上で#KiyiyaVuranInsanlikのハシュタグで直ちに拡散された。

ボドルムでは、ギリシャのコス島を目指していたシリア人とみられる難民少なくとも12人の死亡が確認された。同国の海軍高官によると、そのうち5人が子ども、1人が女性だという。計23人を乗せたボート2隻がそれぞれボドルムを出発していた。

トルコの地元メディアは、溺死した幼児はボートに乗っていた3歳児だったと報じた。5歳の兄も死亡したという。

トルコ軍は過去数日間で、捜索救助隊がトルコ・ギリシャ間の海域で数百人の難民を救出したとしている。

一方、イタリア、フランス、ドイツの3カ国は2日、欧州連合(EU)の既存の難民認定制度の見直しを求めるとともに、難民の受け入れをEU内で公平に分担すべきとの考えで一致した。

イタリア外務省が発表した共同文書によると、3カ国は既存のルールには「明らかに限界や問題点がある」とし、現在の制度を見直す必要があると指摘。大量に流入する難民について、断固とした対応が必要との認識を示した。その上で、4─5日のEU外相会合でこの問題を協議することを求めた。

EUの「ダブリン協定」では、難民申請はEU内で最初に到着した国で行うことになっており、手続きが終わるまで滞在しなければならない。ただ、大半の難民が到着するイタリアやギリシャ、ハンガリーでは、いまだかつてない規模に膨れ上がっている申請を処理するのは不可能だとしている。

ドイツは、最初に到着したEU加盟国がどこかであろうと、シリア難民を受け入れる方針を示しており、近隣諸国は、有効な書類を持たずにドイツに向かう難民を通過させるか、もしくは移動を禁止するかの選択をめぐって混乱している。

ユンケル欧州委員長は来週の欧州議会での一般教書演説で、難民対策についても発言するとみられている。また、9月14日には、難民問題を協議するためEUの臨時の内相・法相理事会が開かれる予定。

*内容を追加して再送します。

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