日・フィリピンが防衛協力拡大、装備移転の交渉開始へ=関係筋

2015年5月27日(水)17時16分

[東京/マニラ 27日 ロイター] - 日本とフィリピン両政府は、6月2日からのアキノ大統領訪日に合わせ、防衛協力を拡大する。日本からの装備移転に必要な協定の交渉開始で合意する見通しのほか、自衛隊が訓練などでフィリピンを訪問する際に、手続きを簡略化する協定などを議論する方向だ。

中国が南シナ海の実効支配を強めようとする中、日本はアキノ大統領を国賓として迎え、強固な関係をアピールする。

<比が示した装備品リスト>

日比両政府の関係筋によると、フィリピンは日本に対し、供与を希望する装備品のリストをすでに提示。レーダーや艦載ミサイル、対潜哨戒機「P3C」など、海の防衛力を高めるあらゆる装備を求めている。

日本は武器輸出の規制を緩和したものの、実際に装備や技術を移転するには、第三国への流出を防ぐ政府間協定を結ぶ必要がある。複数の関係者によると、両国はアキノ大統領と安倍晋三首相の共同声明に、締結に向けた交渉開始を盛り込む方向で調整している。レーダーなど、監視能力の向上につながる装備の供与が念頭にあるという。

両国は、訪問部隊地位協定についても議論する見通し。自衛隊の部隊がフィリピンを訪れた際の検疫手続きの簡略化や、隊員の法的地位を事前に定めることなどがテーマ。現地での共同訓練などが増えることを想定している。

<「国賓」というメッセージ>

日本は親日として知られるアキノ大統領が退任する来年6月までに、できるかぎりフィリピンとの関係を強化しておきたい考え。今年1月には防衛協力の覚書を締結し、5月にはフィリピン海軍と海上自衛隊が南シナ海で初の共同訓練を実施した。今回の訪日で、安全保障の協力関係をさらに一歩進める。

中国が海洋進出を強める中、日本はASEAN(東南アジア諸国連合)と関係を強化しようとしている。今年3月にはインドネシアのウィドド大統領、5月にはマレーシアのナジブ首相が訪日した。アキノ大統領は国賓として招待する。「フィリピンをいかに重視しているかというメッセージになる」と、日本の政府関係者は述べている。

(久保信博、竹中清、マニュエル・モガト 編集:田巻一彦)

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