欧州諸国、若年層の失業問題に対処する必要=ECB総裁

2017年9月22日(金)20時42分

[ダブリン 22日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は22日、民主主義や国民の信頼、成長を守るために、欧州は若年層の失業問題に対処する必要があるとの考えを示した。

総裁は大学生との対話形式の集会の前に、約5分の1の若者が失業している欧州では、イノベーション力が損なわれ、団結力がリスクにさらされ、公共機関への信頼が低下する可能性があると語った。

欧州連合(EU)は競争を促し、仕事よりも人々を保護することに注力すべきだと指摘。産業全体を動かすような経済の変化に備えるため、働く人の教育でEUは今以上の大きな役割を担う必要があると主張した。

「一部の国では、危機の負担が若者に過度にのしかかっており、若者の間で絶望や怒り、社会の価値や民主主義のアイデンティティーに対する不信感が生じている」と語った。

「若者の多くが社会において明確な役割を持っておらず、社会のつながりや公共機関への信頼が弱まるリスクがかなりあり、中期的な成長見通しを損ねている」と語った。

ユーロ圏の失業率は現在9%程度だが、若年層の失業率は19%で、2007年の経済危機初期の水準を約4%ポイント上回っている。

欧州統計局のデータによると、24歳以下の若者の失業率はギリシャとスペインでは40%を超え、イタリアでも30%を上回っている。

総裁は「若者の雇用と生産性の伸びは好循環を生み出す」とし、「企業の生産性が向上する時、企業が若者を雇用する可能性も高まる。そうした機会がある時に若者はスキルを生かすことが可能になり、それにより生産性の伸びは加速し、他のプラス要因とともに賃金の上昇につながる」と語った。

*内容を追加します。

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