家計の金融資産が過去最高1832兆円、日銀の国債保有は4割突破

2017年9月20日(水)11時50分

[東京 20日 ロイター] - 日銀が20日に発表した2017年4─6月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は6月末時点で前年比4.4%増の1832兆円となり、過去最高を更新した。現金や預金の保有が増加を続けているほか、株高を受けて保有資産の評価額が改善したことが背景にある。

日銀が大規模な金融緩和政策を続ける中で、国債残高に占める日銀の保有比率が初めて4割を突破した。

家計の金融資産の内訳をみると、過半を占める現預金が同2.6%増の945兆円と過去最高を更新した。現預金の増加は42四半期連続で、現金や普通預金など流動性の高い資産が増えている。

株式等は昨年6月末が前年比で下落した反動もあり、同22.5%増と高い伸びとなった。残高は191兆円で2007年6月末以来の高水準。取引自体は売り越しとなったが、株価上昇による時価評価の上昇が大きく寄与した。

投資信託は同15.6%増の100兆円と過去最高を更新。こちらは評価額の上昇に加え、取引も買い越しとなっている。

企業の金融資産は同13%増の1166兆円で過去最高となった。このうち現預金は同4.6%増の254兆円と過去第2位の高水準。高収益を背景に、企業が手元資金を積み上げる動きが続いている。

評価額の改善で株式等が同28.6%増と高い伸びを示し、残高は371兆円と過去最高となった。対外直接投資も同20%増の121兆円と過去最高。活発な海外企業のM&A(合併・買収)が背景にあるとみられる。

国庫短期証券や財融債を含めた国債残高は同2.1%減の1085兆円。昨年にマイナス金利導入によって金利が大きく低下し、価格が上昇した反動で時価評価が減少した。国債残高が前年比で減少するのは2009年3月末以来、33四半期ぶり。

保有者をみると、金融緩和によって大規模な国債買い入れを続けている日銀が437兆円と引き続き最大。国債残高に占める保有割合は40.3%となり、初めて40%を超えた。

金融機関が引き続き保有額を減らす一方、海外は増加基調が継続。残高は同4.9%増の117兆円、保有比率が10.8%となり、いずれも過去最高を更新した。

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は4─6月期に長期国債(財融債含む)を1兆0043億円、株式を1963億円それぞれ売り越した。一方、外国証券は1353億円買い越した。

*見出しを修正しました。

(伊藤純夫)

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