アングル:FRBの資産縮小、市場での国債貸借に支障も

2017年9月20日(水)08時12分

[18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は、市場への影響を最小限に抑えながら資産の縮小に着手したい意向だが、レポ市場での国債の借り入れに支障が出る可能性がありそうだ。

連邦公開市場委員会(FOMC)は20日、4兆5000億ドルに膨らんだバランスシートの縮小を年内にも始めると発表するとみられている。

FRBは現在2兆4000億ドル相当の国債を保有し、これをリバースレポ(買い戻し条件付き債券売却)などを通じて市場に貸し出している。銀行や投資家は現在、市場では入手困難な特定の銘柄をFRBの豊富な在庫から手当てすることが可能だが、その在庫が減ることになる。

RBCキャピタル・マーケッツの米金利ストラテジー責任者、マイケル・クロハティ氏は「レポ市場の供給バッファーがなくなってしまう」と言う。

リバースレポの額は1日平均1000億─2000億ドル。これに加え、FRBは証券貸し出しプログラムを通じてプライマリーディーラーの銀行に国債を貸し出すこともできる。この制度では、銀行がヘッジファンドなど顧客からの需要の多い特定の銘柄を指定してFRBから借り入れることが可能だ。

証券貸し出しプログラムの額は通常、1日200億─300億ドル程度で、日によっては特定銘柄への需要がFRBの保有分を上回ることもある。

FRBが保有国債を減らしていけば、人気の高い銘柄の入手が困難になり、レポ市場のボラティリティ(変動率)が高まって国債の空売りコストが高くなるかもしれない。

市場参加者が、取引相手に約束した債券を受け渡すことができない「フェイル」の件数が増加する恐れもある。

市場では既に、財務省の入札スケジュールの関係上、新発10年国債の借り入れ需要が供給を上回ることが多いが、FRBの貸し出しによってある程度混乱が緩和されてきた。

ナットウエスト・マーケッツの金利ストラテジスト、ブレーク・グウィン氏は「これは市場機能の問題だ。最終的には、証券の空売りが減る事態になりかねない」と語る。

FRBが保有資産を減らす結果、金利が上昇すれば、市場への影響は増幅される可能性がある。

金利が上がると、国債価格の下落に備えて流動性の高い直近発行(オンザラン)の国債を売り持ちにしたい投資家の数が増え、ただでさえ希少な銘柄への需要が高まるかもしれない。

RBCのクロハティ氏は「金利上昇環境の中で、貸し出せるオンザラン国債が不足すると、如実に影響が出るだろう」と語った。

もっとも、FRBの資産縮小の影響で国債貸し出しのリターンが高まれば、現在は手持ちの国債を貸し出していない主体が市場に参入してくるかもしれない。既に活発に貸し出している市場参加者も、金利上昇によって恩恵を受ける。

ナットウエストのグウィン氏は「一部の人々にとってはチャンス到来だ。証券貸し出しの競争相手が1つ減るので、理論的にはより高い金利で貸せることになる」と話した。

(Karen Brettell記者)

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