トランプ政権の対中調査、米企業は貿易摩擦生む可能性を懸念

2017年8月4日(金)10時21分

[ワシントン 3日 ロイター] - トランプ米政権が中国の知的財産保護権侵害や不公正な貿易慣行を巡り調査に乗り出す意向を示していることについて、米企業団体などはその正当性を認めながらも、デリケートな問題の対応を誤れば国内企業に不利益をもたらす貿易摩擦に発展する恐れがあると懸念している。

テクノロジー業界の関係筋は匿名を条件に、「この政権が細やかで戦略的な対応が可能であることはこれまで認められておらず、法執行や調査をどのように実施するかについて企業は当然ながら懸念している」と指摘。

トランプ大統領は中国の知的財産権侵害を問題と認める大統領令に署名する見通しで、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は1974年制定の通商法301条に基づき、中国の貿易慣行に対する調査を開始するとみられている。

ホワイトハウスは4日に調査を正式発表すると見込まれていたが、先送りされた。

通商法301条は、諸外国の不公正な貿易慣行から自国の産業を保護するため、関税や貿易制限など一方的な制裁措置の導入を可能にする。1980年代に頻繁に適用されたが、ここ10年はほとんど使用されていない。301条を適用した場合、世界貿易機関(WTO)の紛争解決機能を無視することになる。

ピーターソン国際経済研究所の貿易専門家、チャド・ボウン氏は「時代遅れの米通商法」の活用は問題を引き起こす可能性があると説明。「米政権は正当な問題を指摘したが、トランプ氏が提案している解決法は事態の悪化を招くだけかもしれない」と述べた。

ある企業団体の関係者は「われわれのメンバーは概して通商法の順守を支持しているが、米政権による措置が貿易摩擦につながらないよう慎重な対応を求めている」と述べた。

前出のテクノロジー業界筋は、「われわれは(国家安全保障会議、NSC)と話し合っているが、正直なところ、意思決定者が誰なのかを見極めるのが難しい」と明かした。

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