欧州市場サマリー(14日)

2017年7月15日(土)05時21分

[14日 ロイター] - <為替> ドルが主要6通貨に対し下げ幅を広げ、対円では一時およそ2週間ぶりの安値となる112.28円まで売られた。朝方発表された6月の消費者物価指数(CPI)と小売売上高が市場予想に届かず、米連邦準備理事会(FRB)が年内に追加利上げに踏み切れるか懐疑的な見方が強まった。

<ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。米連邦準備理事会(FRB)当局者が、よりゆっくりなペースで利上げを進めることを示唆し、利上げ観測が後退。今週は世界的に株式相場が上がる局面もあったが、FT100種の週間ベースの値上がりは約0.2%にとどまった。ディフェンシブ銘柄の比重が大きい指数にとって利上げ観測の後退は押し下げ要因となる。

住宅大手バラット・デベロップメンツやパーシモンなどのディフェンシブ銘柄が特に値を下げた。

製薬大手アストラゼネカは前日に続き売られ、0.3%安となった。パスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)が他社に移る準備をしているとする報道が材料視されている。

<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。週間ベースでは2カ月超ぶりの大幅な値上がりとなった。主要な中央銀行による金融政策の引き締めが想定よりも遅いペースで進むとの兆しから買われた。

STOXX欧州600種資源株指数は1.40%上昇した。鉄鋼大手のオウトクンプやアルセロール・ミタル、テナリスの値上がりが目立った。トランプ米大統領が中国が鉄鋼のダンピング(不当廉売)をしているとして、輸入割当制度や関税の適用を検討していると発言したことが材料視された。

ただSTOXX欧州600種銀行株指数 は0.48%低下した。JPモルガン・チェースやシティグループなどの米主要銀行の決算が期待外れの内容だった。また朝方発表された6月の米消費者物価指数(CPI)は米国の物価上昇圧力の勢いが鈍化していることを示した。こうしたことは、米連邦準備理事会(FRB)にとって金融引き締めの抑制要因となるとの見方が広がった。銀行は金利が上がると利幅が大きくなる。

<ユーロ圏債券> 国債利回りが低下した。米連邦準備理事会(FRB)当局者が利上げに関して慎重な姿勢を示していることに加え、米国のインフレが緩慢になっていることが確認されたことが背景。

米ダラス地区連銀のカプラン総裁は13日、FRBの目標である2%に向かっていることを示すさらなる兆候を見極めたいとし、利上げには忍耐が必要との考えを表明。この前日にはイエレンFRB議長が下院金融サービス委員会で行った証言で緩やかな利上げが正当化されるとの見解を示している。

独10年債利回りは一時0.49%と4ベーシスポイント(bp)低下したが、その後は下げ幅を縮小し、終盤の取引では0.52%近辺となっている。ただ今週に入ってからつけた1年半ぶりの高水準となる0.583%からはなお低い水準にある。他のユーロ圏国債利回りは1ー3bp低下。

欧州中央銀行(ECB)の政策に関してロイターはこの日、複数の関係筋の話として、ECBは将来的に見通しが悪化した場合に備え金融政策の柔軟性を確保したいため、量的緩和を終了する時期を明言することに消極的な姿勢を示していると報じている。

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