ユーロ10カ月ぶり高値、ECB総裁発言などで=NY市場

2017年6月28日(水)06時37分

[ニューヨーク 27日 ロイター] - 27日のニューヨーク外為市場では、ユーロが対ドルで10カ月ぶり高値に上昇した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が大規模緩和を微調整する可能性を示唆したことや、米上院共和党が医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の採決延期を決めたことが影響した。

終盤のユーロ/ドルは1.1349ドルと昨年8月終盤以来の水準に上がった。ドル/円は海外市場で1カ月ぶり高値の112.46円まで買われていたが、ユーロ高/ドル安につれて伸び悩み、直近は0.3%高の112.12円だった。

ドラギ総裁は27日、欧州経済の見通し改善に伴いマイナス金利や大規模な債券購入といったECBの政策手段の調整を行うことは可能であると発言。これを受け、ユーロ/ドルの上昇率は約1.5%と1年余りぶりの大きさになった。

TDセキュリティーズのシニアFXストラテジスト、メイズン・イッサ氏は「きょうの相場の動きは、ドラギ氏のタカ派方向への転換によって主導された」と指摘。ユーロの取引レンジは切り上がって当面は1.10─1.15ドルで推移する公算が大きいとの見方を示した。

一方、米上院のマコネル共和党院内総務が今後の党内の賛成票増加を見込んでオバマケア代替法案採決を延期したため、ドル売りが一段と進んだ面もあった。

アナリストによると、採決延期でトランプ大統領が減税やインフラ投資といった成長政策を実現できるとの期待が後退した。ファーストラインFXのジェーソン・ラインワンド最高経営責任者(CEO)は「市場参加者はトランプ政権の政策実現能力に対する信頼を失いつつある」と述べた。

注目されていた米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長の講演が、ドルに与えた影響は乏しかった。イエレン氏は、少なくとも自分が生きているうちに再び金融危機が起きるとは考えていないと語った。

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