IMF、米成長見通しを下方修正=年次審査報告

2017年6月28日(水)04時46分

[ワシントン 27日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は27日、米経済に関する年次審査報告を発表した。トランプ米政権による減税や財政出動が経済成長を押し上げるとの見方を取り消し、成長率見通しを下方修正。2017、18年とはともに2.1%とした。

IMFは声明で、米労働市場は既に最大雇用とみなされる水準に達していることもあり、年率3%超の安定的な成長率を目指すトランプ政権の目標は達成しがたいだろうと指摘した。

今年4月時点では経済成長率を17年が2.3%、18年が2.5%と予想していた。トランプ氏が公約に掲げた減税や財政出動によって景気が一段と上向くとみていたためだ。ただ、米政権の「発展段階にある政策」の詳細が明らかにならないことから、景気刺激策の効果を盛り込まないことを決めた。

トランプ政権の最新の予算案は、中低所得者に過度な負担を課す支出削減だと指摘。「米国民全員の安全と繁栄を促進すると掲げる予算案の目標と矛盾する」と付け加えた。

代わりに、歳入対GDP比を改善する税制や社会保障制度の効率を上げるような、より均衡のとれた支出削減、医療費の上昇を抑制する対策の導入を提唱した。

ワーナーIMF西半球局長は記者会見で「向こう数年で重要な財政再建が予想される予算案が議会に提出されたことから、財政刺激策(の効果)を見通しから外している」と指摘。その上で「米指標に目を向けると、諸政策の実行により経済成長率を例えば1%ポイント押し上げることができるとは考えにくい」と語った。

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