ドル109円前半、日銀関連報道で短期筋がドル売り/円買い

2017年6月8日(木)15時53分

[東京 8日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、ドル安/円高の109円前半。午前の取引では、ドルの底堅さが意識され一時110円を回復したが、午後に入って、日銀の出口論を巡る議論について、「時期尚早」としていた姿勢を改め、市場との対話を重視する方向に修正しつつあるとの報道が伝わると、海外短期筋を中心にドル売りが広がった。

午前から午後1時半過ぎにかけては、きょう予定される重要イベントについて一部「ガス抜き」が終わったとされ、ドルが一時110円台を回復する場面もみられた。ただ、ドルの110円台では国内輸出企業からの売りも観測され、109円後半に押し戻された。

前日にはコミー前米連邦捜査局(FBI)長官が8日に行う議会証言の内容が伝わり、目新しい事実は含まれていないとの受け止めから、リスク回避の円買いが和らいだ。   「ひとまずサプライズはなさそうだということで、足元では(ドル/円の)底堅さが意識された」(あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏)との声が出ていた。

しかし、その後、日本銀行が異次元緩和の出口を巡る議論について「時期尚早」としていた姿勢を改め、市場との対話を重視する方向に修正しつつある、とのブルームバーグの報道が伝わると、ドルは109.90円付近から一時109.38円まで下落。

売りの中心は、海外短期筋で「日銀が出口に向けて対話手法を見直す、とはっきりとしたメッセージが英文で流れたので、虚をつかれた海外ファンド勢を中心にドル売りが広がった」(外銀)とされ、一部は短期的なドルロングの投げとみられる。

この日発表された5月の中国の貿易収支は、408.1億ドルの黒字となり、予想の463.2億ドルを下回った。

内訳は輸出が前年比8.7%増と予想の7.0%増を上回り、輸入も前年比14.8%と予想の8.5%を上回った。中国の貿易統計に対するドル/円の反応は限定的なものにとどまっている。

みずほ銀行のマーケット・エコノミスト、佐々木貴彦氏は、貿易収支の数字自体は想定内だったとする一方、インフラ投資のペース縮小によって輸入の伸び幅縮小を予想していたとして「今回の結果は驚きだった」と話している。

「輸入の高い伸び率をみると、意外にインフラ投資の拡大ペースは維持されているようだ。インフラ投資が引き続き積極的ということであれば、目先の景気急減速は想定しにくいといえるだろう」と指摘している。

朝方から北朝鮮関連の報道や日本の経常収支、1─3月国内総生産(GDP)改定値の発表があったが、相場反応は限られた。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 109.43/45 1.1261/65 123.24/28

午前9時現在 109.91/93 1.1254/58 123.70/74

NY午後5時 109.79/84 1.1255/59 123.60/64

(為替マーケットチーム)

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