米4月雇用者数、21.1万人増に急加速、失業率10年ぶり低水準

2017年5月6日(土)02時52分

[ワシントン 5日 ロイター] - 米労働省が発表した4月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が21万1000人増加し、伸びは市場予想の18万5000人増を上回るとともに、前月の7万9000人増から大幅に加速した。

失業率も約10年ぶりの水準となる4.4%に低下、労働市場の引き締まりがあらためて浮き彫りとなった。賃金の伸びはやや伸び悩んだものの、米連邦準備理事会(FRB)による来月の利上げを後押ししそうだ。

雇用はほぼ全般的に伸びたが、とりわけレジャー・接客、専門職、ヘルスケア・社会補助などの業種が全体を押し上げた。

失業率は4.5%から4.4%に0.1%ポイント低下し、2007年5月以来の低水準を記録した。これは就業者数の増加と労働人口の減少の両方を反映している。

労働参加率は11カ月ぶりの高水準だった前月の63%から62.9%に低下した。

時間当たり賃金は前月比0.07ドル(0.3%)増だった。日数のゆがみが一因とみられている。前年同月比では2.5%増にとどまり、2016年8月以来の低水準となった。

ただ、ネーションワイドの首席エコノミスト、デビッド・バーソン氏は「労働市場にはスラック(需給の緩み)がなお若干存在しているが、急速に解消している」と指摘。「こうしたことは賃金上昇圧力になる可能性がある」と述べた。

PNCファイナンシャルの首席エコノミスト、ガス・フォーシャー氏は「堅調なペースで雇用拡大が続く中、米経済の成長も年内を通じて継続する見込みだ。FRBは米経済が最大雇用に近づくのに伴い、6月に利上げするだろう」と話す。

JPモルガンのエコノミスト、マイケル・フェロリ氏も「今回の結果は、FRBは6月に追加利上げを実施する軌道にしっかりととどめるものだった」と指摘。6月会合の声明は金利見通しに関する部分がタカ派方向にシフトする可能性があるとの見方を示した。

FRBは今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、第1・四半期の景気減速は「一時的」な公算が大きく、緩やかな景気拡大が今後も続くとして、先行きに楽観的な見方を示した。雇用が再び大きく伸びたことは、FRBの主張を裏付ける一助になりそうだ。

労働市場は今年、完全雇用と整合する水準に達すると見られており、企業が適切な人材の確保に苦しむ中、雇用の伸びは鈍化する可能性がある。

米経済が労働人口の伸びに追いつくには、月7万5000人─10万の雇用増が必要とされる。第1・四半期の雇用者数の伸びは平均で月17万8000人増だった。

内訳は建設が5000人、製造業が6000人それぞれ増えた。

レジャー・接客は5万5000人増、専門職は3万9000人増、ヘルスケア・社会補助は3万6800人増といずれも大きく伸びた。

小売りは6300人増と、3カ月ぶりのプラス。消費の主戦場が実店舗からオンラインへとシフトする中、小売業界では百貨店大手のJCペニーやメーシーズ、ティーン向けアパレル大手アバクロンビー・アンド・フィッチなどが数千人規模の人員削減を発表している。

政府は1万7000人増えた。

他の労働市場指標も改善している。

縁辺労働者や正社員を希望しながらパートタイムで就業している人を加えたより広義のU6失業率は8.9%から8.6%に低下。

就業率は0.1%ポイント上昇の60.2%と、8年ぶりの高水準となった。

*内容を追加して再送します。

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