トランプ米政権が税制改革案発表、法人税15%に下げ

2017年4月27日(木)09時43分

[ワシントン 26日 ロイター] - トランプ米政権は26日、法人税減税や海外利益に対する税率引き下げなどを柱とする税制改革案の概要を発表した。

トランプ大統領の就任100日目を29日に控え、同政権は極めて重要な改革案と位置づける。ただ、歳入押し上げに向けた具体策に欠ける中、財政赤字の拡大につながる可能性も拭い切れない。

税制改革案は、ムニューシン財務長官とコーン国家経済会議(NEC)委員長が発表。ムニューシン長官は「中核となる基本指針」と指摘し、これをたたき台に議会を通過する法案の作成に向けて今後議会とつめていく意向を示した。

同改革案では、公的企業の法人税税率を現行の35%から15%に引き下げる。

海外還流利益の税率については、現行の35%から大幅に引き下げることを検討。ただ、ムニューシン長官は、政権と議会が新たな水準をめぐり意見のすり合わせを行っているとし、明確な数字は示さなかった。

米企業は現在約2兆6000億ドルの利益を海外に滞留させており、米政府はこうした資金が米国に還流されない限り課税はできない。トランプ政権は還流を促しているが、税率は低水準にとどめることを提案。実施に移されれば歳入が一時的に押し上げられ、インフラ投資の原資に回せるため、民主党の支持を得られる可能性がある。

個人については、税率区分を現在の7区分から3区分(10%、15%、35%)に減らす。

今回の改革案には、減税分を補完する手段として下院共和党が提案した「国境調整税」は含まれない。

ライアン下院議長は国境調整税を提唱してきたが、同改革案を「大変気に入っている」とし、同案に対する楽観的な見方を表明。

ライアン議長のほか、上院のマコネル共和党院内総務を含む共和党幹部は声明で、「トランプ政権が打ち出した指針は(政権と議会が税制改革で協議を進める際の)重要なガイドポストとなる」との見解を示した。

トランプ政権の税制改革案に対し、米国商工会議所を含む経済団体は、税制改革に向けた初めの一歩に過ぎないとしながらも歓迎する意向を表明。ただウォルマート・ストアーズやターゲットなどの大手小売業で構成する小売業リーダー協会(RILA)は、国境調整税の導入にあらためて反対する立場を示した。

パートナーシップなどを含むパススルー事業体に課す最高税率は現在39.6%と個人の最高税率と同水準だが、15%に引き下げる方針。また、米国に拠点を置く企業が海外で稼いだ利益の大部分を法人税の課税対象外とする「地域的な」法人税制度も導入する計画。

米国では、税法の大幅改定権限は議会にある。下院民主党のペロシ院内総務は、「トランプ大統領の税制改革案は詳細に欠け、大企業や富裕層に対する優遇が大きい」と批判した。

また、民主党や財政規律を重視する共和党の一部からは、財政赤字拡大への懸念が浮上した。

ムニューシン長官は質疑応答で、減税分による減収については経済成長に伴う歳入増や法の抜け穴をふさぐことなどによって賄われるとし、「米企業の競争力を世界で最高とすることがわれわれの目標だ」と強調。「大統領は経済成長の効果を企業に対し解き放ちたいとの固い決意がある」と語った。

そのうえで、「全般的な経済計画は大規模な減税と税制改革、規制緩和、通商協定の再交渉から成る。これにより長期間にわたり抑制されていた米国の経済成長に道が開かれる」と述べた。

*内容を追加します。

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