明治安田生命、円高局面でオープン外債積み増し=17年度運用計画

2017年4月25日(火)20時02分

[東京 25日 ロイター] - 明治安田生命は25日発表した2017年度の運用計画で、外債残高を増やす方針を示した。オープン外債は金利水準に留意しつつ、円高局面で重点的に積み増す。ヘッジ付き外債は円債とのトータルリターンの比較で優位なら積み上げる考え。

一方、円債残高は減少させる計画で、市場環境を考慮しつつ、慎重に対応していく。国内外のクレジット資産に対しては、良質な案件を選別し積み増す構えだ。

<前年度下期にヘッジ外債積み増す>

同社の16年度末のポートフォリオ状況によると、円債残高は17兆1300億円となり、15年度末とほぼ横ばい。一方、外債残高は6兆4200億円となり、決算取引を除いたベースでは1兆0800億円の増加となった。このうち、為替オープン外債が1800億円増。ヘッジ付外債は9000億円増。上期の円高局面ではオープン外債を、下期にはヘッジ付外債を積み増した。16年度末時点では、オープン、ヘッジ付外債の保有割合はほぼ半々という。

17年度末にかけた市場環境は、それぞれ若干のドル高/円安、日米株高、米金利上昇を見込む。地政学リスクの高まりや欧州政治イベントなどを背景に「相場がかなり大きく変動する場面に備える必要がある」(山下敏彦・執行役副社長)とみる。

外貨建て保険の対応を除いた17年度の運用計画においては、低金利環境の継続が見込まれる中で、国内外の金利や為替水準、ヘッジコストなどを見極めながら、従来と同様、円債と外債の間で効果的な資産配分を目指す方針。また利回りの確保に向け、クレジット資産への投資も注力する。

保険収支や利息配当金の収入などによる今年度の投資財源は1.5兆円強。このうち約4割については、市場動向を踏まえながら円債、オープン外債、ヘッジ付外債の3つに効果的に配分する方針。さらに国内外のクレジット資産に約3割、国内貸付・アウトソースなどに約3割、それぞれ振り分ける。

<ユーロ圏の外債は慎重姿勢>

円債はALM(資産・負債の総合管理)推進の観点から中心となる資産であることは変わらないとするものの、慎重に対応していく構え。ただAT1債(CoCo債=偶発転換社債=と呼ばれる債券の一種)やハイブリッド債などの国内クレジット資産については、発行体の信用力に留意しながら、案件を厳選して積み増す。

外債残高は増加を見込むが、通貨配分は現状の金利水準なら引き続き米ドルが中心となるという。オープン外債、ヘッジ付外債ともに現状では85%程度が米ドル。ユーロ圏の外債の比率は小さいものの、欧州政治リスクなど不透明要因もあり「大幅に増やそうという考えは今のところは持っていない」(山下副社長)という。

株式残高は横ばいの見通し。ファンドを通じた国内株への投資は継続する。外国株式等の残高は増加。海外バンクローンや、海外社債のほか、外国株などにファンドを通じ投資していく。海外クレジット資産については、先進国を中心に良質な案件を厳選し、積み増していく。

同社は今年4月に「クレジット投資部」を新設。3カ年の中期経営計画では国内、海外のクレジットにそれぞれ8000億円投資する計画を掲げている。運用審査体制を強化しつつ、「インハウス(自家運用)で機動性を大きく前進させられる」(山下副社長)メリットを引き出す考えだ。

(長田善行、竿代真一)

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ