財政中長期試算は楽観的、教育国債に慎重=自民・鈴木氏

2017年3月27日(月)19時09分

[東京 27日 ロイター] - 自民党の鈴木馨祐(けいすけ)衆院議員(青年局長)は27日、ロイターのインタビューに応じ、内閣府が示す財政の中長期試算は税収見積もりが過度に楽観的なうえ、低金利がいつまでも続くと想定しにくいと指摘した。

与党内で導入を求める声が出ている教育国債の発行などによる政府支出拡大に慎重な見解を示した。

鈴木氏は財務省出身。国民所得に占める税と社会保障の割合を示す「国民負担率を今以上増やすのはそろそろ限界」として、法人税など直接税の軽減と消費税引き上げによる「税の構造改革」、歳出削減の必要性を提唱している。

足元の世界経済は、米国を中心に回復基調にあるものの、先進国の低金利が続いているのは「日銀など中央銀行、GPIF(年金管理運用独立行政法人)など多数の『クジラ』が国債を買い入れているため。(金利水準は)奇跡的な低位にあり、永続する可能性はほとんどない」と表明。「マーケットはいつでも攻撃を仕掛けることがある」として、急激な金利上昇もあり得るとの見方を示した。

特に政府が前提としている中長期の経済財政試算は、2020年度以降の税収見積もりを70兆円以上とし、「バブル期並みに過大に試算し、ありえない」と批判。現実的な税収見通しを前提とした財政再建計画の再考を訴えている。

与党関係者の一部では、教育無償化の財源として教育国債案が浮上しつつあるが、鈴木氏は「機会の平等は大切で、給付型奨学金などは必要だが、すべての人への教育無償化はいかがなものか。本当に必要な人かどうか、線引きが重要」と慎重な見方を示した。

金融政策運営については「米国は景気が過熱する傾向にあり利上げ方向だが、日本はそのような環境にない」と分析。「企業や家計の期待がポジティブに回る状況には、まだない」うえに、物価も目標の2%に遠いと言及。「緩和縮小(テーパリング)する状況ではない」と述べ、現行の金融緩和を継続する必要性を強調した。

(竹本能文 編集:田巻一彦)

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