日銀3月会合、現行政策を粘り強く推進 国債買入増で弱点露呈の声も

2017年3月27日(月)10時38分

[東京 27日 ロイター] - 日銀が27日に公表した3月15、16日の金融政策決定会合の「主な意見」によると、予想物価上昇率など物価の基調の改善に慎重な見解が示される中、長期金利の操作目標を「ゼロ%程度」とする現行の金融政策運営を粘り強く推進していくべきとの認識が複数の委員から示された。

長期金利の上昇を受けて2月に国債買い入れ額が増加したことについて、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策の弱点が顕在化したもの、との指摘もあった。

会合では、消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)の動向について「予想物価上昇率の形成は適合的であり、物価上昇率が高まっていくには、しばらく時間がかかる」、「物価上昇をサポートする材料は増えてきているが、物価のモメンタムにどう波及してくるか、今はしっかり見極めるべき局面」などといった見方が示され、物価の基調の強まりに自信を持ちきれない委員の様子がうかがえる。

15日に主要企業の集中回答日を迎えた春闘については「4年連続でベースアップの実施が見込まれていることは、ポジティブに評価したい」との指摘があった一方、「賃上げ率は今年度実績に満たない可能性が高い」との評価も聞かれた。

こうした物価動向と見通しを踏まえ、複数の委員が「2%の物価安定目標にはなお距離がある」、「経済の好循環は緩やかで、物価安定目標達成は道半ばである」と主張。

短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する現行のYCCについて、世界的に金利上昇圧力が強まる中でも「拙速に行動すべきではなく、現行の枠組みのもとで粘り強く金融緩和に取り組むことが肝要」、「日本の金融政策の転換が必要となるまでには相当に時間がかかる」などと、当面は現在の金融政策を維持していくことが適切との見解が示された。

2月には、国債買い入れオペの不透明感や、トランプ米大統領による円安批判などを受けて長期金利が上昇し、日銀は国債買い入れの増額による金利抑制を迫られた。

会合では「オペレーション上も特段の問題をきたしていない」との声があった一方、「長期金利に目標を設定すると大幅な国債買い入れを余儀なくされ得るという、イールドカーブ・コントロールの弱点が顕現化したものだ」との指摘もあった。

(伊藤純夫)

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