米FRB、緩やかな利上げ理にかなう=イエレン議長

2017年1月19日(木)07時38分

[サンフランシスコ 18日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は18日、米経済が完全雇用に近づき、インフレ率がFRBの目標とする2%に向かうなか、FRBが緩やかな利上げを実施していくことは理にかなうと述べた。

イエレン議長はサンフランシスコで行った講演で「中立的な金利に向け動き始めるのを待ち過ぎれば、過度のインフレ、もしくは金融不安定、またはこの双方というリスクに将来的に見舞われる可能性がある」と指摘。

そのうえで「こうしたシナリオの下では、FRBは急激な利上げを余儀なくされる可能性があり、そうなれば経済は新たなリセッション(景気後退)に陥る恐れがある」と述べた。

昨年12月の利上げについては、景気の回復が継続するとの確信を反映していたと指摘。

自身を含めたFRB当局者は、主要短期金利をFRBが2019年にかけて「毎年数回」引き上げていくと予想しているとし、金利水準は長期的に持続可能な金利である3%に近づくとの見通しを示した。

ただ、「経済は広大かつ非常に複雑であるため、その行方は予想外の展開をたどることもある」と述べ、利上げのペースは景気見通しの動向次第で変更される可能性もあるとした。

イエレン議長の発言を受け、金融市場では米国債利回りが上昇し、ドルが買われた。議長は株などの資産価格について、FRBが他国の中銀に先行して金利を正常化するとの思惑を一部反映していると指摘した。

議長はトランプ次期米大統領の政策には直接言及せず、議論されている多くの新しい経済政策を「注意深く見守る」とした。その上で「(経済政策の変化を)景気見通しに反映させ、FRBの二重の責務の達成に必要な措置にどのように影響するか考慮する」と述べた。

米経済については、雇用と物価の両面でFRBが担う責務は達成に近づいているとの認識を表明。ただ「利下げ余地がそれほど大きくないことを踏まえると、予想外の衝撃に耐えられるほどに景気拡大が力強さを維持することを確実にするため、われわれは片足をペダルの上に乗せた状態にしている」とし、生産性の伸びの低迷で経済成長が抑制されている状況下では、急激な利上げはおそらく必要ないとの考えを示した。

ただ、「米経済が目標達成に近づくにつれ、金融政策による支援の規模を徐々に縮小していくことが理にかなう」と述べた。

*内容を追加しました。

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