ECBが刺激継続、インフレの持続的回復まで=当局者

2016年10月29日(土)02時31分

[ロンドン/フランクフルト 28日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバー2人は、金融緩和政策は副作用や制約を伴うが、ECBはインフレが持続的に回復するまで刺激策を継続するとの認識を示した。

クーレ専務理事は、フランクフルトの会議でECBの措置は機能していると主張するともに、金利が事実上の下限に近づく中で、銀行の利益率は押し下げられていると警告した。

その上で「必要な改革を先送りする選択肢は、もはや有効ではない」と政府に行動を促し、危機直後に銀行の問題に対処し強化していれば、成長軌道は現在よりも高かっただろうと述べた。

ECB理事会メンバーのレーン・アイルランド中銀総裁は、ECBはこれまでの刺激策に「満足」しており、マイナス金利は銀行収益を圧迫する可能性があるが、深刻な副作用の兆しは出ていないとの考えを示した。ロイター・ニュースメーカーのイベントで述べた。

その上で「インフレ率が現行目標に向け持続的な軌道に乗るまで現在の緩和策を継続する」と述べた。

クーレ専務理事、レーン総裁はそろって、12月理事会では資産買い入れの今後について決定するとの認識を表明した。ECBはインフレ率が持続的に回復する兆候を確認したいとし、足元の底堅い経済指標はあまり重視していないことを示唆した。

クーレ専務理事は、家計や企業が現金保持に切り替える金利の下限は、中銀預金金利のマイナス0.4%をさらに下回る水準としたが、金融政策の波及が弱まることによるマイナスの影響が利点を上回る経済的な下限もあると述べた。

一方で、中銀が2%のインフレ目標を達成できない状況が続けば、低インフレが恒久化しかねないと指摘。「インフレが目標に向かい持続的に調整する状況に至るまで金融支援を継続する」と言明した。

インフレが目標を下回る状況が続けば、家計や企業のインフレ見通しが低下することで「均衡の名目金利が切り下がり、金融刺激を供給するのに一段と低い金利が必要になる」と語った。

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ