ドル104円半ば、ドル買い仕掛けワークせず

2016年10月27日(木)15時36分

[東京 27日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、若干ドル高/円安の104円半ば。朝方は投機筋がドル買いで参入したが、上値の重さを確認し、早々に買った分を売り戻した。きょうは月末スポット応当日に当たり、輸出勢のドル売りも観測されている。

ドルは午前9時過ぎにかけ104.69円まで上昇した後、失速。「ロングで攻めた投機筋が105円近辺に並ぶ厚いドル売りに立ち向かえなかった」(国内金融機関)との声が出ていた。

仲値通過後は104円半ばでもみ合っていたが、黒田東彦日銀総裁の発言が伝わり始めた午前10時半過ぎから下押し圧力が強まり、一時104.35円まで下落した。

「輸出勢の売りが入っていた。黒田総裁が円安を誘発するような発言をしなかったことも一部で材料視された」(同)との指摘が出ていた。

黒田総裁は「イールドカーブ全体が、政策決定時点にイメージした形になっている」「直ちに長短金利操作目標を変えることにはならないと思う」などと述べた。

日銀は10月31日、11月1日に金融政策決定会合を開く。市場では政策の現状維持が見込まれており、総裁の発言からも「すぐに追加緩和する必要はないとの考えがにじんでいる」(国内証券)との指摘があった。

オフショア(中国本土外)市場の人民元は27日、対米ドルで6年ぶり安値を更新。一時、2010年10月以来となる1ドル=6.7921元に下落した。

中国人民銀行(中央銀行)は元の対ドル基準値を6.7736元と、前日の6.7705元から元安水準に設定した。

人民元の下落について、市場では「今のところ混乱を起こしてはいないが、人民元が資本逃避を背景に継続的に下落し、中国の外貨準備が一段と減少する局面では、リスクオフによる円高圧力を高める可能性がある上、間接的にも日本に影響を及ぼしかねない」(国内エコノミスト)という。

為替市場では、米12月利上げの可能性との関連で高値圏にある米国株の動向が注視されている。

米投資信託協会(ICI)が26日公表した最新データによると、19日までの週に米国を拠点とする株式ミューチュアルファンドから約169億ドルの資金が流出し、流出額は2011年8月以降の約5年間で最大となった。ミューチュアルファンドは多くが運用担当者の判断で銘柄を選択する「アクティブ」運用の手法を採用している。

ドル/円  ユーロ/ドル  ユーロ/円

午後3時現在 104.55/57 1.0906/10 114.03/07

午前9時現在 104.56/58 1.0908/12 114.06/10 

NY午後5時 104.46/48 1.0907/11 113.93/97

(為替マーケットチーム)

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