ECBはマイナス金利のコスト増大認識、過度な長期化望まず=総裁

2016年10月26日(水)04時52分

[ベルリン 25日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、極めて緩和的な政策に伴う金融業界のコストが増大している現状を認識しており、過度に長くマイナス金利を維持することは望んでいないとの立場を示した。ベルリンで開催されたイベントで述べた。

総裁は、資産買い入れや超低金利が格差拡大や経済が強い国から弱い国への収益移転を促したとする批判を退け、金融緩和政策の正当性を主張。一方で、ドイツの銀行を中心とする低金利による業績圧迫への不満にも配慮する姿勢を示した。

「時間とともに厄介な副作用が蓄積する可能性があり、金利をこのような低い水準に極めて長い期間維持せずに済むことをもちろん望む」と述べた。

ドラギ総裁の発言により、ECBが現在マイナス0.40%としている中銀預金金利を引き下げるとの観測がさらに後退する可能性がある。

また過去最低水準にある金利は「ニューノーマル(新常態)」ではないとし、ユーロ圏は通貨統合と銀行同盟を完成させない限りぜい弱な状況が続くとの認識を示した。

総裁は「ニューノーマルではない。異例の金融支援がなくても物価安定が持続可能な形で達成できれば、緩和措置を解除する」と述べた。

ECBの緩和策が預金者を圧迫しているとの批判がドイツなどから出ていることに対しては「一時的な低金利により一部預金者が圧迫される可能性があるのは事実だ」としながらも、「いかなる金融資産を保有していようとも、投資リターンは最終的には経済成長率に左右される」と反論した。

ショイブレ独財務相はベルリンで開催された別のイベントで、金融政策は限界に達したとの認識が世界的に広がりつつあるとの考えを示した。また流動性や債務は世界的に過剰であると個人的に確信しているとした。

これに対し、ドラギ総裁は低金利政策と潤沢な流動性供給が金融安定を脅かす恐れがあるとECBは十分に認識しているとしながらも、現時点ではこうしたリスクは台頭していないとの見方を示した。

総裁は「信用が金融安定リスクにつながっている兆しは出ていない」と述べた。

また将来の展望をめぐっては、ユーロ圏は通貨統合と銀行同盟を完成させない限りぜい弱な状況が続くとの認識を表明。「通貨統合や銀行同盟、資本市場同盟が未完なら、こうしたリスクは残るという事実から目を背けるべきではない」とした。

*内容を追加して再送します。

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