英9月の財政状況が悪化、公的部門の借り入れ急増

2016年10月22日(土)05時17分

[ロンドン 21日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が21日に発表した9月の公的部門純借入額(国有銀行を除く)は106億ポンドで、前年比14.5%増加し、ロイターがまとめた市場予想(85億ポンド)を大幅に上回った。

4─9月では455億ポンドとなり、前年同期から約5%減少した。ただ、2016/17年度通年の見通し(550億ポンド)に既に近づいている。

9月の法人税と不動産取引による税収はともに前年比減少した。また、付加価値税(VAT)の税収の伸びは前年よりも鈍化した。

国内総生産(GDP)比でみた英国の債務は、2010年度の10%超から、前年度は4%に縮小したが、その額は引き続き先進国で最も大きい部類に入る。

ハモンド財務相は、9月の公的部門純借入額の発表を受けて、オズボーン前財務相が立てた計画よりも、債務削減のペースは緩やかになると強調。「財務規律を重んじる立場に変わりはなく、必要に応じて経済を下支えするだけの余裕を持てるように、一定の時間をかけて財政バランスを回復していく」とした。

財政改善のペースは遅い上、来年は経済鈍化による税収減も予想される。欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決めて以降初めてとなる財政見通しの発表を11月23日に控えて、ハモンド財務相は苦しい立場に置かれることになる。

ハモンド氏は、インフラ事業への歳出は必要なもの以外にはあまり見込めないと強調。エコノミストらは、借入金利が低い中で大胆な歳出見通しを示さなかったことに落胆した。

投資家らはブレグジットが英国にとって厳しいものになることを心配している。今回発表された内容は、財政出動か減税でブレグジット決定の悪影響を回避することを難しくするかもしれない。

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