狙い通り国債買い入れペース低下するか不確実=日銀・9月主な意見

2016年9月30日(金)10時08分

[東京 30日 ロイター] - 日銀が30日公表した審議委員らの主な意見によると、日銀がイールドカーブ・コントロール(YCC)への政策転換を打ち出した9月20━21日の金融政策決定会合では、従来の「量」の拡大の効果に懐疑的な意見が出ていたことがわかった。一方、今後も国債買い入れの「量」を政策運営の目安とすべきとの意見も出されたことが明らかになった。

反対派とみられる委員からは、新たな枠組みによって「狙い通り国債買い入れペースが低下するか不確実」と指摘しており、YCCの狙いが事実上の買い入れペース縮小による持続可能性確保であることが浮き彫りになった。

<量と物価、「長期的関係はない」>

「主な意見」は黒田東彦総裁を含む9人の委員がそれぞれ重要と判断して総裁に提出した意見の一部を総裁が編集し発言者を匿名として羅列したもの。

これによると、ある委員は、従来のマネタリーベース(資金供給量)拡大が、企業や家計の物価観である予想物価上昇率に与える効果について「短期的に為替レートを介して見かけ上の相関はあったかもしれないが、長期的な関係は観察できない」と発言した。

<資産買い入れ額目標とした買い入れ縮小提案も>

一方、新たな政策の枠組みをめぐり「これまで通り資産買い入れ額を目標としてうえで、国債買い入れペースの縮小を行なうことで、持続性と市場の安定性を高まるのが重要」とあくまで「量」を重視する声も出た。

新たな枠組みであるイールドカーブ・コントロールについては、「金融機関収益にも配慮しつつ目標とする長期金利水準を決めることが考えられる」「従来より経済・物価・金融情勢に柔軟に対応可能で政策の持続性も高まる」と説明している。

<買い入れ減額、政策的含意なし>

従来掲げてきた年間80兆円の国債買い入れ目標が削られたことで「買い入れ額は増減することは当然生じうるが、政策的なインプリケーションを持つものでないことはしっかり説明していくことが必要」、10年債利回りゼロ%程度との長期金利目標について「次回会合までの方針で、将来にわたってペッグ(固定)する趣旨ではない。毎回の会合で最適な(イールド)カーブの形状を判断していく」との発言もあった。

一方、「長期金利上昇などを受けて逆に買い入れペースが高まるリスクが相応にある」「指し値による国債買い入れオペは市場機能を著しく損ねる恐れがある異例の措置」との批判も出ている。

マイナス金利の影響をめぐり「国債買い入れとの組み合わせで長短金利を大きく引き下げる効果があったが、金融機収益・金融市場・生保年金などに対する影響も大きかったことに留意必要」との指摘が出た。「国内金融機関の経営体力は、グローバルな金融システム安定の観点からも重要」との声も出ている。

(竹本能文)

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