タカタのスポンサー応札5陣営すべてが法的整理を提案=関係筋

2016年9月29日(木)20時12分

[東京 29日 ロイター] - 相次ぐエアバッグ事故で経営悪化が懸念されるタカタの再建について、スポンサー企業選びの入札に参加したダイセルなど5グループすべてが、出資の前提として同社の法的整理を提案していることが29日、分かった。

ただ、タカタの取引先で債権者でもある自動車メーカーは法的整理を回避したい意向を示しており、最終的な再建策の行方は不透明な情勢だ。

複数の関係筋によると、19日に締め切られたスポンサー選定の1次入札に参加した5グループはいずれも、タカタに対して将来的に請求されうるリコール費用や訴訟費用のリスクと再建プロセスを切り離すため、法的整理が必要との提案を行った。

同社がこれまでに引き起こしたリコールの費用は1兆円規模に膨らむ可能性があるうえ、韓国では28日、同社製エアバッグを搭載した自動車約11万台について新たにリコールを実施すると発表するなど、現在も費用は拡大している。

スポンサー候補として応札した企業の関係者は「出資の前提として、債務を確定させるための唯一の選択肢が法的整理」と語った。

入札に参加したのは、化学品メーカーのダイセルと米系ファンドのベイン・キャピタル連合、米自動車部品大手のキー・セイフティー・システムズ(KSS)と米投資ファンドのカーライル・グループ連合、さらに、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)、エアバッグメーカーのオートリブ、米自動車部品メーカーのフレックス・エヌ・ゲートの5グループ。

タカタの再建策を策定している外部専門家委員会は27日からホンダやトヨタ自動車などの国内メーカーや、フォルクスワーゲンなどに対して、5グループの提案内容の説明を行っている。自動車メーカーの関係者は「スポンサーは法的整理でリコール費用をリセットしたいのだろうが、それでは困る。我々の株主に対してもきちんと説明できる再建策にしてほしい」とし、法的整理に反対の意向を示した。

タカタは、再建後も引き続き自動車メーカーとの取引を継続する必要がある。関係者によると、外部専門委は自動車メーカーの意向を踏まえ、スポンサー候補に対して、私的整理の手法を取りながら債務の一部をカットする再建策をまとめるように要請する方向だ。

(藤田淳子、白木真紀、 編集:北松克朗)

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ