独コメルツ銀、9600人削減と配当停止へ 今四半期は赤字に

2016年9月30日(金)01時42分

[フランクフルト 29日 ロイター] - ドイツのコメルツ銀行は、正社員の2割以上に当たる9600人の人員削減と当面の配当支払い停止を発表した。低金利環境に対応し、2020年をめどにより持続可能なベースで利益を出す体質づくりに向けリストラを敢行する。

コメルツ銀の人員削減は同様に苦戦するドイツ銀行の10%の削減よりも大幅なものになる。コスト削減などに要するリストラ費用は11億ユーロ(12億ドル)にのぼる見込み。

正規雇用(フルタイム)4万5000人のうち9600人を削減する。一方、事業が成長している分野では2300人を採用し、差し引き7300人の削減となる。

リストラ策により第3・四半期に7億ユーロの減損処理が見込まれ、同四半期は純損失を計上する。今年通期では小幅の純利益を見通している。昨年の純利益は11億ユーロだった。

リストラ策の一環として4つの主要業務を2つに再編。取引の80%をオンラインに移行するほか、投資銀行部門の取引を縮小し、収益の安定化を図ると同時に資本を他の部門に振り向ける。

リストラにより昨年4.2%だった有形自己資本利益率は2020年までには少なくとも6%となる見通し。

マルティン・ツィールケ最高経営責任者(CEO)は ロイターが入手した従業員宛の書簡で、「コメルツ銀の将来を持続的に繁栄あるものするために十分な収益を上げていない」とし、「対処しなければ状況は悪化するばかりだ」とした。同CEOは30日に行なう記者会見でリストラ策の詳細を説明する。

バンクハウス・ランペのアナリスト、ニール・スミス氏はコメルツ銀が発表した人員削減策は大規模なものとしながらも、年間コストベースを2015年の72億ユーロから2020年までに65億ユーロに縮小するとの計画は予想を下回ったと指摘。

問題を抱えている海運業界向けの融資業務の縮小の一段の加速を望むとし、「それほど大きな費用をかけずに同部門から迅速に撤退できれば、早期の復配が可能になる可能性がある」とした。

コメルツ銀が発表したリストラ策について、独財務省はコメントを控えた。独政府は金融危機時に同銀に対し180億ユーロの支援を実施しており、その結果として現在も同銀の株式約15%を保有している。

コメルツ銀の株価は年初から約40%下落。下落率は銀行株指数の24%を超えている。

*内容を追加しました。

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