訂正:三菱重、輸出向け武器の共同開発を検討 米企業と協議

2016年8月31日(水)17時23分

[東京 31日 ロイター] - 三菱重工業が米企業と協業し、輸出向けの武器開発を検討していることがわかった。水陸両用車など、戦闘車両の開発が念頭にあるとみられる。実現すれば、日本企業が自衛隊向け以外の武器を開発する初のケースとなる。

防衛・宇宙事業を統括する水谷久和常務執行役員(訂正)が30日、ロイターとのインタビューで明らかにした。

水谷常務執行役員(訂正)は「まだ具体的な(相手の)社名は言えないが、米国の会社と調整をしている。日本の防衛省にも話をした上で、協議を進めている」と語った。

水谷常務執行役員(訂正)は、戦車の技術を利用した防衛装備の共同開発とだけ説明。年内には方向性を公表したいという。詳細は明らかにしなかったが、水陸両用車や装甲車などの開発を検討しているとみられる。

日本は中国の海洋進出を受け、防衛の軸足を北方から南西諸島に移しつつある。自衛隊の装備も戦車から機動性の高い車両への変化が求められており、三菱重工は戦車から転用したエンジンを搭載した戦闘車両の研究を進めている。

複数の関係者によると、戦闘車両向けのエンジン、変速機、水中推進機関に、外国の国防省や防衛産業が関心を寄せているという。配備から40年がたつ水陸両用車「AAV7」の世代交代を検討している米海兵隊も、三菱重工の技術に目を付けている。

武器輸出が禁じられてきた日本の防衛産業は、自衛隊だけに装備を納めてきた。2014年4月に「防衛装備移転三原則」が新たに導入され、禁輸が緩和された後も、外国軍向けの武器開発に乗り出した例はなかった。オーストラリア海軍向け潜水艦の開発に日本政府、三菱重工、川崎重工業の官民連合が入札した際も、海上自衛隊の潜水艦をベースにしたものを提案していた。

水谷常務執行役員(訂正)は「これまでも海外企業と事業をしてきたが、納入相手は防衛省だった。日本の事業を一緒にやっているにすぎなかった」と指摘。「日本の安全保障に資するという三原則のルールを踏まえ、そこからいかに脱却するかを考えている」と述べた。

水谷常務執行役員(訂正)は、防衛省が2017年度予算の概算要求に盛り込んだ、水陸両用車の研究事業への参画にも意欲を見せた。「日本のニーズに合致したものを作る技術がある。期待してもらえるなら、その期待に応えたい」と語った。

*水谷久和氏の役職を「取締役」から「常務執行役員」に訂正しました。

(久保信博、ティム・ケリー 編集:石田仁志)

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