中国人民銀行、利下げや預金準備率引き下げには消極的=関係筋

2016年8月29日(月)18時13分

[北京 29日 ロイター] - 複数の関係筋によると、中国人民銀行(中央銀行)内では、利下げや預金準備率の引き下げに踏み切っても効果は薄いとの見方が強まっている。

国内の投資意欲が薄く、企業や銀行の間で現金の退蔵意欲が強まっているためという。

このため、経済成長率が6.5%を割り込む深刻なリスクが生じない限り、利下げや預金準備率の引き下げを急ぐことはない見通しという。

政策の協議や提言に詳しい複数の関係筋が明らかにした。情報を提供した関係筋は、政策の最終決定には関わっていない。

中国人民銀行(中央銀行)はコメントを控えている。

人民銀行の考え方に詳しい関係筋は、匿名を条件に「人民銀行は預金準備率や金利の引き下げに踏み切る用意がない。金融政策の効果は限られている。財政政策に依存する必要がある」と述べた。

7月のマネーサプライ統計では、現金・短期預金が急増し、中・長期の預金が伸び悩んだ。エコノミストは、企業が現金を退蔵しており、銀行も融資に積極的ではない、と分析している。

ロイターが主要上場100社(金融を除く)の四半期財務諸表を分析したところ、6月末時点の現金および短期投資額は前年比27%の増加。上位2048社では17%増で、特に工業やIT(情報技術)の伸びが大きい。

また、ある政策顧問は「利下げすれば、実体経済以外に資金が流れ、資産バブルの温床になりかねない。一部の都市では、流動性の拡大と金融緩和を背景に、住宅価格の値上がりが続いている」と述べた。

ある政府系大手シンクタンクのシニアエコノミストは「財政政策は明らかに金融政策よりも効果がある。ただ、金融政策に効果がないといっているわけではない」とし「経済成長率が6.5%を割り込むことは許されない。これが下限だ」と述べた。

*内容を追加しました。

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