ジャクソンホール会合、景気押し上げへ政府の対策必要と各国中銀

2016年8月28日(日)12時54分

[ジャクソンホール(米ワイオミング州) 27日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀が主催した経済シンポジウムでは、米連邦準備理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)、日本銀行の当局者から景気押し上げには金融政策だけでなく、政府による大胆な対策も必要との声がきかれた。

27日のシンポジウムでは、インフレや景気への見通しの低迷が欧州や日本でのインフレ目標達成を難しくしているとの見方が示された。

ECBのクーレ専務理事は、インフレ期待が高すぎたり低すぎたりしないようにECBは努力しているが、欧州各国政府の経済改革ペースが遅いためこの努力が阻害されていると指摘。「2007年以降の構造改革は中途半端で、インフレ期待の押し上げに寄与せず、ディスインフレ見通しを促進している」と述べた。

日銀の黒田東彦総裁は、潜在成長率の押し上げに向け移民の受け入れなどを含め、政治的に難しい問題について定期的な安倍首相との会合で話していると語った。

FRBのイエレン議長も26日の講演で、最後のページを景気押し上げにむけた財政政策や構造改革に割いた。

今回のシンポジウムでは財政政策は正式議題ではないが、討議ではたびたび言及された。各国の企業や個人が、中銀が想定するような経済成長やインフレを見込んでいないことが中銀にとっては懸念となっている。

黒田総裁は、家計の見通しが改善しておらず、日銀は引き続き努力を続けるとしたうえで「日本のインフレ動態は引き続き弱い」とし、2%の物価上昇率目標に「長期インフレ期待はまだアンカーされていない」と述べた。

プリンストン大学のシムズ教授はシンポジウムでの講演で、将来のインフレ見通しを得るためには大規模な施策が必要との見解を示し、「財政拡大が効果のない金融政策の代替になり得る。インフレを生みだすことを目的に、そして条件づけた赤字が必要だ。将来の税や歳出削減ではなく、インフレによって赤字はファイナンスされなければならない」と述べた。

※英文参照番号[nL1N1B80E4](契約の内容によっては英文がご覧いただけない場合もあります)

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