第2四半期の米GDP速報値1.2%増、想定外の低い伸び 消費堅調

2016年7月30日(土)04時26分

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が発表した第2・四半期の国内総生産(GDP)速報値は、前期比年率で1.2%増となり、伸びは市場予想の2.6%増を大きく下回った。在庫の落ち込みが下押し要因となり、堅調な個人消費を相殺した。

GDPの伸びは、第1・四半期の0.8%増(下方修正)から加速した。

持ち直しが見込まれていた第2・四半期が想定外に弱い伸びにとどまったことに加え、昨年第4・四半期も0.9%増と、当初から0.5%ポイント下方修正された。3四半期連続でGDPの伸びが低迷したことになり、米景気が大きく失速し停滞するリスクがあることを示唆している。

だがエコノミストは堅調な個人消費に支えられる形で、下期は平均で2%強の成長率に戻ると見込んでいる。

在庫を除く最終需要は2.4%増。内需は2.7%のペースで増えた。

米個人消費支出は4.2%増え、2014年第4・四半期以来の大幅な伸びを記録した。この水準を維持することはおそらく不可能だが、雇用市場の引き締まりや住宅価格の上昇、貯蓄増加が年内の消費を下支えるとエコノミストは指摘している。

家計の可処分所得はインフレ調整後で139億2000万ドル増と、増加ペースは年初の138億1000万ドルから加速した。

一方、在庫は81億ドル減と、2011年第3・四半期以来初めてマイナスに転じた。これに伴い在庫投資はGDP伸びを1.16%ポイント押し下げた。在庫が押し下げ要因となるのは4四半期連続。ただ在庫減は年内の生産を押し上げる要因になる。

ただ、米連邦準備理事会(FRB)は雇用とインフレの目標達成に注力しているため、第2・四半期のGDP下振れが金利見通しに影響する公算は小さいとみられている。

BNPパリバの北米担当チーフエコノミスト、ポール・モーティマーリー氏は「FRBが在庫の大幅変動を受けて金融政策を決定する可能性は低く、むしろ労働市場の動向や最終需要に注目するだろう」と指摘。だが、ハト派がこれらの数字に言及し、様子見すべき根拠と主張することは考えられると話す。

長引くドル高による影響や世界的な需要減退にもかかわらず、輸出は増加し、貿易赤字が縮小した。これに伴い、貿易のGDP寄与度は0.23%ポイントだった。

機器の設備投資は3.5%減と、3四半期連続のマイナス。ただ落ち込み幅は縮小した。原油安を背景とするエネルギー業界の投資縮小に加え、世界の需要動向や米大統領選をめぐる不透明感が足かせとみられている。

構造物の投資は7.9%減った。前四半期は0.1%増だったが、再びマイナスに転じた。これには石油・ガスの油井が含まれる。

米政府は今回、2016年第1・四半期から2013年からまで遡って改定値を公表した。第1・四半期GDPデータが実際より低く算出される傾向があり、これに一部対処した。その結果、2015年第1・四半期GDPは当初発表の0.6%増から2.0%増に大きく上方修正された。

*内容を追加して再送増す。

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