武田、研究拠点を日米に集約 英国の研究拠点は閉鎖へ

2016年7月29日(金)21時02分

[東京 29日 ロイター] - 武田薬品工業は29日、研究拠点を日本と米国に集約すると発表した。英ケンブリッジの研究拠点は閉鎖する。治療領域の絞り込みに加え、分散している研究開発も集約することで、より革新的な創薬につながる体制作りとする。

アンドリュー・プランプ・チーフメディカル&サイエンティフィックオフィサーは会見で「これは非常に大きな変革。コスト削減のためではなく、武田を再構築するもの」と述べた。研究員については、グローバルな異動プログラムなどを整備する。プランプ氏は、人員削減が目的ではないが「結果として人員削減はある」とした。

クリストフ・ウェバー社長CEOは「英国の研究拠点閉鎖は、欧州連合(EU)離脱とは全く関係ない」と述べた。英ケンブリッジには140名の研究員がいるという。

新体制では、米国のボストンと日本の湘南研究所を研究の中核拠点と位置付ける。開発組織についても、ボストンにグローバルな開発拠点を置き、申請業務などのためにそれぞれの地域拠点は維持する。体制作りは2―3年で行う計画。

プランプ氏は、開発体制について「外部と戦略的な提携関係を結ぶ。前例のない、業界をリードするような開発のモデルになる。数百名の社員が新組織に移行する可能性がある」と述べた。

改革のための費用は、総額750億円。このうち、17年3月期の支出は最大250億円程度で、期初に計画した事業効率化費用の枠内だという。また、残り500億円の多くは2018年3月期の発生を見込んでいるが、労働組合やパートナー企業、従業員の選択などによって変化するとしている。

一方、導入後の年間のコスト削減は約180億円を見込んでおり、削減分は「革新的なパイプラインに再投資する」(プランプ氏)としている。

同社は、研究開発に関して「がん」、「消化器系疾患」、「中枢神経系疾患」の3領域と「ワクチン」に特化することを明確にしている。

*内容を追加して再送します。

(清水律子)

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