日銀展望リポート、物価達成時期据置き 経済対策織り込むが円高響く

2016年7月29日(金)14時58分

[東京 29日 ロイター] - 日本銀行は29日、金融政策決定会合を開催し、「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)を公表した。2%程度の「物価安定目標」の達成時期を従来の「17年度中」と据え置いた。「先行きの海外経済に関する不透明感などから不確実性が大きい」と見ている。財政面の景気刺激効果や消費増税延期に伴うの影響を織り込んだが、円高や予想物価上昇率改善が後ずれしているとして、17、18年度は概ね据え置いた。

今回のレポートにおいては新しい前提として、原油価格の見通しをこれまでの1バレル35ドルを起点に18年度にかけて40ドル台後半に緩やかに上昇としていたのを、45ドルを起点に50ドル程度に緩やかに上昇いくと想定している。また、英国のEU離脱の影響にも言及。消費税10%への増税の延期と、政府による経済対策の効果も織り込んだ。

こうした前提変化を踏まえ、16年度は経済成長率も消費者物価指数(CPI)の見通しを大きく下方修正。17年度は消費税増税が延期されたため、経済成長を引き上げたが、物価見通しはほぼ変えていない。18年度は成長率も物価もほぼ据え置いた。

成長率は、従来見通しと比べて、財政面の景気刺激策の効果もあって、見通し期間の前半を中心に上振れているとした。また消費税増税の延期に伴い、駆け込み需要とその反動減はならされるとしている。にもかかわらず、物価は16年度下方修正したのは、円高や予想物価上昇率改善の遅れを理由としている。

リスク要因として、「英国のEU離脱に伴う不透明感が国際金融資本市場や世界経済に及ぼす影響には注意が必要」として言及した。

金融政策運営については、2%の物価目標の実現をめざし、安定的に持続するために必要な時点まで、「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を継続するとした。必要な場合には「量」「質」「金利」の3つの次元で追加的な金融緩和措置を講じるとした。

*見出しを修正しました。

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