空売り後の公表、倫理的に疑問=伊藤忠リポートで日本取引所CEO

2016年7月28日(木)18時20分

[東京 28日 ロイター] - 日本取引所グループ(JPX)の清田瞭・最高経営責任者(CEO)は28日の定例会見で、米グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事の会計処理についてのリポートを発表したことに関連して、空売りしてから公表するのは倫理的に疑問があると述べた。

さらに、米グラウカスについて、不自然な取引がないかどうかなど、自主規制法人や証券取引等監視委員会が調査することは可能との見方を示した。

米グラウカスは27日のリポートで、伊藤忠のコロンビアの石炭事業などで不適切な会計処理があったと指摘し「強い売り推奨」とした。リポートには、同社が伊藤忠株の空売りポジションを保有しており、伊藤忠の株価が下落すれば「相当の利益が実現する」と明記されている。

同リポートをめぐっては、27日に伊藤忠が会計処理は適切だと反論。伊藤忠は、監査を担当する監査法人トーマツからも、連結・単体の財務諸表がいずれも適正との監査意見を得ているとした。

清田CEOは会見で「上場企業の決算書類は、監査法人の適正意見を得て開示されている。われわれがそれを否定する立場にはない」とした。

<アナリスト規制の日証協ガイドライン>

清田CEOは、証券会社のアナリストによる上場会社への取材に関して日本証券業協会がまとめたガイドライン案について、上場企業の開示姿勢が消極的になるのであれば本末転倒だと述べた。

20日に公表された日証協のガイドライン案は、証券会社のアナリストが原則、上場企業の未公表の業績数値を取材できないことなどを規定。意見公募を経て、早ければ10月から実施されるが、上場企業が情報開示に消極的になるとの懸念が市場関係者から出ている。

清田CEOは上場企業に対して「必要な情報を、必要なタイミングで速やかに開示してもらうということを継続的にお願いしていく」と述べた。

*内容を追加します。

(和田崇彦)

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