新日鉄住金、通期経常益予想は35%減の1300億円 市況低迷や円高で

2016年7月28日(木)18時35分

[東京 28日 ロイター] - 新日鉄住金 は28日、2017年3月期の連結経常利益予想を前年比35.3%減の1300億円と発表した。市況低迷による鋼材販売価格の下落、円高の影響のほか、原料の在庫評価損も出ている。

トムソン・ロイターのスターマイン調査がまとめたアナリスト18人の経常利益予測の平均値1791億円を大きく下回っている。

4―9月期の当期損益予想をゼロとしたことで、中間配当は見送る。

4―6月期の連結売上高は前年同期比16.9%減の1兆0511億円、経常損益は120億円の赤字(前期は844億円の黒字)となった。四半期ベースでの赤字は、旧新日本製鐵と旧住友金属工業の単純合算で12年4―6月期以来。

販売価格の下落やエネルギー関係の高付加価値品が苦戦するなど製品構成悪化が大きく影響した。また、原料価格下落による在庫評価差も減益要因となった。さらには、為替が前年同期の1ドル121円に対して今4―6月期は111円と10円円高となったことも影響した。原料価格下落やコスト削減を進めたものの、カバーしきれなかった。

第2四半期以降の為替前提は1ドル100円。栄敏治副社長は会見で「円高を想定した収益見通し。通期(利益ベース)で約700億円のマイナスの影響となる」と述べた。

単独の粗鋼生産は上期・下期共に2180万トン程度を計画。在庫適正化に向けて、これまで減産を続けてきたが、第1四半期は1058万トンで前年同期の1031万トンから微増となった。増加するのは7四半期ぶり。通期でも前期実績を上回る見通し。

中国の過剰生産・過剰輸出が背景となっている海外鋼材市況の低迷。今後の見通しについて、栄副社長は「昨年10―12月期に底を打ったが、市況が上がったところで、再び増産に転じ、輸出増加、市況が下落している。今後も足元の水準を挟んでボックス圏で動く」との見通しを示した。

内需と輸出のバランスについては「輸出市場も最悪期は脱したが、それほどよくはない。国内は需要が少し伸びる。限られた生産の中で、1円でも利益が出ることを目指し、構成を考えていきたい」とした。

同社は「合理的な算定・予想を行うことができない」として、4月末の通期決算発表時の17年3月期予想の開示を見送っていた。

*内容を追加します。

(清水律子 編集:宮崎大)

  • 1/1

今、あなたにオススメ

今、あなたにオススメ