金融庁、8月から地銀融資評価のベンチマーク導入=関係筋

2016年7月27日(水)18時08分

[東京 27日 ロイター] - 金融庁は、地域金融機関が融資などを通じて企業の成長に貢献しているかなどを定量評価するためのベンチマーク制度を8月から導入する。来週にも具体的な項目を公表する。複数の関係者が27日、明らかにした。

ベンチマークの導入により、金融機関の取り組みを客観的に把握し、金融庁と金融機関の対話を深める狙いがある。

ベンチマークは約50項目の定量データで構成する。具体的には、メーンバンクとして取引している企業のうち、経営が改善した件数や地元企業への無担保融資の件数といった、全ての地域金融機関に提出を求める共通の指標と、創業支援や事業再生、M&A(企業の合併・買収)への関与など金融機関の裁量で選択できる指標とに大別される。それぞれの指標について、どの程度達成しているかを金融機関に報告させる。

後者については、金融庁が提示するベンチマークのリストになくても、金融機関が取り組みの進ちょくを説明するうえで、必要だと考える独自の指標を示すことも認める。

8月から金融機関への適用を始める方針だが、まず、各財務局を通じて複数の金融機関を選定し、指標の提出を求める。その後、ベンチマークを必要に応じて手直しし、来年早々には、全ての金融機関に指標提出を求める予定だ。

金融機関の自主的な取り組みや金融機関同士の競争を促すため、金融庁は、独自の取り組みによって地元企業の成長に貢献するなど実績を上げている金融機関を対象に、表彰する制度の創設も検討している。

金融庁は、昨年9月の行政方針でベンチマークの検討を明記。また、金融機関から融資を受けている企業が金融機関をどう評価しているかを把握するため、中堅・中小企業を中心に計751社へのヒアリングを実施した。

その結果、約3割の企業が、経営上の課題や悩みをメーンバンクに「まったく相談していない」と回答。その理由について「アドバイスや情報が信頼できない」が最多となり、地域金融機関と貸出先企業の信頼関係のぜい弱さが浮き彫りになった。

金融庁は、定量データを用いて金融機関の取り組みや成果を客観的に評価することで、地域金融機関が質を伴った金融仲介機能を発揮することを促したい考えだ。

金融庁の広報担当者は、記事内容について「コメントを差し控える」と述べた。

(伊藤純夫、和田崇彦 編集:田巻一彦)

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