日産、為替変動で4―6月期営業利益9.2%減 通期予想は維持

2016年7月27日(水)21時16分

[横浜 27日 ロイター] - 日産自動車が27日発表した2016年4―6月期決算によると、営業利益は前年同期比9.2%減の1758億円だった。為替変動が響き、5四半期ぶりの減益となった。為替の逆風は続くが、北米などでの販売好調やコスト削減で補い、17年3月期通期の連結業績は従来予想を維持する。

トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト9人の4―6月期営業利益の予測平均値は1677億円だった。

4―6月期の営業利益は、為替変動で912億円押し下げられた。このうち約340億円がドル円による影響だが、会見した田川丈二常務は、メキシコペソ、ロシアルーブルなど「新興国通貨による悪影響がかなり大きくなっている」と説明。為替変動の影響を除くと37.8%増になるという。

対ドルで1円変動した場合の営業利益への影響額は、一時期は200億円以上に達したが、前期は約120億円だった。今期は国内から北米向けスポーツ型多目的車(SUV)「ローグ」の輸出などがあるため約140億円と若干増える。ただ、現地化などを進めている成果として「為替変動リスクは以前に比べ低くなっている」(田川氏)。

通期の連結売上高は前期比3.2%減の11兆8000億円、純利益は同0.2%増の5250億円、営業利益は同10.5%減の7100億円を見込む。アナリスト25人の営業利益の予測平均値は7129億円で、会社予想はほぼ同水準。前提為替レートは期初のまま1ドル=105円、1ユーロ=120円。世界販売計画も従来通りとした。

<通期での国内販売計画は「弱含み」>

4―6月期の世界販売は前年同期比0.6%減の128万7000台だった。北米は同8.9%増の52万9000台と好調だったが、欧州はロシアが振るわず同2.9%減の18万3000台。日本は同25.4%減の9万台だった。三菱自動車の燃費不正問題発覚で、同社から調達していた軽自動車の販売停止が響いた。

通期での国内販売計画58万台について今回は修正しなかったが、星野朝子専務は「消費税増税前の駆け込み需要を見込んだ数字」のため、増税延期で「駆け込み需要がなくなるので弱含みになる」との見通しを示した。燃費不正で停止していた軽自動車の販売も再開されたが、「今後どのような影響があるかわからず、少し見守りたい」とした。

<現時点では競争力のある英国工場を生かす>

6月の英国民投票で欧州連合(EU)離脱が決まったことを受けて、田川常務は「現時点では競争力のある英国工場を生かしていきたい」と語った。

また、離脱決定後に英ポンドが大幅下落したことに関連し、英国生産のうち75%が輸出のため、「本来はポンド安は良い話だ」とする一方、欧州大陸から部品を調達したり、ユーロ建ての支払いもあるため、ポンド安を喜ぶばかりでもいられないとの認識を示した。

対策としては「必要ならポンドのエクスポージャーを減らすことになると思うが、英国に工場があることは必ずしも悪い話だけではない」と述べた。

*内容を追加して再送します。

(白木真紀)

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