アングル:ブレグジットで急増の個人外貨預金、将来の円安見込む

2016年6月30日(木)15時27分

[東京 30日 ロイター] - 英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を問う23日の国民投票後、急激に円高が進み、個人向け外貨預金が急増している。日銀のマイナス金利政策で円預金金利が低下するなか、相場の大きな変動を好機とみて、為替リスクを取る動きが出始めた。円高進展直後に将来の円安を見込んだ「したたかな個人投資家の行動」と言えそうだ。

三井住友銀行では、英国のEU離脱決定が明らかになった24日以降、1日あたりの外貨預金の預け入れ金額が、それまでの平均に比べ約3倍で推移している。

通貨別の内訳は開示していないが、米ドル、豪ドル、ニュージーランドドルが人気だという。

同行では、外貨預金の人気の高まりを受け、今月末まで予定していた金利や為替手数料などのキャンペーンを急きょ、来月中旬まで延長することを決めた。

1月29日に日銀がマイナス金利政策を決定した直後、各行は円預金金利を一斉に引き下げた。同時に多くの銀行が外貨預金金利を引き上げたが、個人の動きは鈍かった。

複数の銀行関係者によると、外貨預金の場合、個人は相対的な金利の高さよりも、為替相場の動向を気にするという。高金利通貨の預金でも、為替相場の動き次第で、円換算での元本が短期間で大きく変動してしまうからだ。

ブレグジットで大きく動いた相場は、外貨預金の入り口を探る個人にとって、好機と映ったようだ。英国民投票の結果が判明した24日、ドル/円は急落し、一時、99円台と2年7カ月ぶりの円高水準を付けた。

ジャパンネット銀行では同日の外貨預金の口座開設数は、前日までの6月の1日平均の約6.9倍、取引量は約8.4倍に膨れ上がった。

ソニー銀行などの他のネット銀行も外貨預金への預け入れが大きく増えた。

じぶん銀行では、24日以降の外貨預金取引額がそれまでに比べ約3倍で推移しており、そのうち、ユーロ預金の取引は約6倍の取引額になっている。米ドル預金は預け入れが主で、ユーロ預金の場合は、預け入れと引出しが同程度だという。

同行の吉川徹執行役員は「英国の国民投票に起因する為替相場変動に伴い、外貨預金への関心も高まり、外貨預金口座を新たに開設するお客が増えている」と語る。

また、外貨預金を取り扱う関係者の間では、急速に円高が進み、将来の円安展開を見込んで、今が外貨預金の購入チャンスと判断した個人が多かったのではないか、と今回の急増要因を分析する声が多い。

(浦中大我 編集:田巻一彦)

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