鉱工業生産、5月は実質3年ぶり低水準 円高で2四半期連続低下も視野

2016年6月30日(木)10時54分

[東京 30日 ロイター] - 経済産業省が30日発表した5月鉱工業生産指数速報は事前予測を下回り、前月比2.3%低下した。今年2月の自動車関連工場の事故に伴う落ち込みを除けば、2013年6月以来の低水準に沈んだ。英国の欧州連合(EU)離脱決定前の調査である生産予測指数を前提とすると、4─6月生産は前期比0.2%上昇と横ばい圏の見込みだが、円高の影響で下振れすれば2四半期連続の減産となりかねないと経済産業省はみている。

生産は熊本地震の影響による落ち込みも反動増も限定的となり、低位横ばいの状況が続いている。先月発表の5月の予測指数も前月比2.2%上昇だったが、結果は低下となった。

本来であれば工場の事故や地震の後には自動車の挽回生産が期待できるはずだったが、燃費不正問題が影響して軽自動車を中心に生産回復の力強さは表れていない。5月は輸送機械の前月比が0.7%上昇したが、シャシーやエンジンなどが寄与したもの。下押しが大きかったのは、夏物化粧品の生産が一巡した化学や、半導体製造装置が振るわない一般機械、メモリーや太陽電池セルが不調だった電子部品・デバイスなどで、そのほかにも多くの業種が低下した。

経済産業省は生産の基調判断を「一進一退」として据え置いた。

先行きの予測調査では6月が前月比1.7%上昇、7月が同1.3%の上昇となったが、6月の誤差を調整した実勢は0.5%程度の上昇にとどまると経済産業省では試算している。農林中金総合研究所の主席研究員、南武志氏は「足元5月分の下振れにより6月予測はプラス幅が拡大しているが、予測修正率は実際には下方修正だ」と指摘している。

また調査が英国民投票の前に実施されたため、その影響は生産計画に織り込まれておらず、急速に進行した円高による影響が織り込まれれば、さらに下押しされそうだ。

生産の回復時期についてSMBC日興証券のチーフマーケットエコノミスト、丸山義正氏は10─12月期から持ち直しとの予想を年内横ばい圏に修正し、「生産はじり貧となりそうだ」とみている。

*内容を追加します。

(中川泉 編集:山川薫)

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