米個人消費支出2カ月連続プラス、英EU離脱で先行き不透明

2016年6月30日(木)02時39分

[ワシントン 29日 ロイター] - 米商務省が29日発表した5月の個人消費支出は前月比0.4%増と2カ月連続で伸び、市場予想と一致した。第2・四半期に経済活動が加速したことを示した。4月の数字は当初発表の1.0%増から1.1%増へ上方修正された。

5月は自動車などの耐久財需要が増して消費の伸びを支えたが、英国が欧州連合(EU)離脱を決めたことで、不安感が強まり消費者が支出を手控える恐れがある。

TD証券の副チーフエコノミスト、ミラン・ムルレイン氏は「国際金融市場で信頼感が低下している状況を踏まえると、向こう数カ月に消費の勢いは鈍ることが予想され、米景気の先行きをめぐる不確実性が一層高まる」と指摘する。

23日に行われた、いわゆる「ブレグジット」(英国のEU離脱)をめぐる国民投票に続いた2営業日の値下がりで、世界の株式相場からは3兆0100億ドルが吹き飛んだ計算だ。その後、大半の市場は失われた時価総額の一部を回復しており、29日は欧州とアジアで株価が2日続伸している。米国株式市場も上昇して取引が始まった。

エコノミストらは、金融市場の混乱が続けば消費者信頼感が失われ、企業は資本財への投資を延期もしくは削減し、企業投資が一段と抑制されると指摘。今のところ、ブレグジットが米国の経済成長を向こう6四半期で平均0.2%ポイント押し下げると試算している。

今回の個人消費統計を受けて、アトランタ地区連銀の経済予測モデル「GDPナウ」では、第2・四半期の個人消費の伸びが年率4.1%増から4.3%増に上方修正された。これに伴い、第2・四半期の米成長率予想も2.7%と、従来から0.1%ポイント引き上げられた。

だがRDQエコノミクスのチーフエコノミスト、ジョン・ライディング氏は、FRBは金利の道筋について指標次第としているが、「英国のEU離脱決定、および国際金融市場に漂う不透明感を踏まえると、これらは何ら意味を持たないだろう」と話す。

5月のインフレ調整後の消費支出は前月比0.3%増だった。4月は0.8%増加していた。5月の増加、そして4月の堅調さを受け、エコノミストらは第2・四半期の個人消費支出と国内総生産(GDP)の見通しを引き上げる可能性がある。

個人消費支出は第1・四半期に年率換算で1.5%増にとどまり、第1・四半期のGDPは年率1.1%増の伸びに抑制された。アトランタ連銀が公表している第2・四半期のGDP予測は現段階で年率2.6%増となっている。

個人消費は増加したものの、物価上昇圧力は依然として穏やかだ。5月の個人消費支出(PCE)物価指数は、変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数が4月に続いて前月比0.2%上昇だった。前年同月比は2カ月連続で1.6%上昇した。コア指数は、米連邦準備理事会(FRB)が好んで使う物価の目安で、FRBの目標である2%を下回っている。

5月の個人消費支出は、自動車をはじめとした耐久財が0.3%増えたことが全体水準を押し上げた。サービスは0.4%増だった。

同時に発表された5月の個人所得は0.2%増。4月は0.5%増加していた。5月の賃金・給与は0.2%増。貯蓄は7306億ドル。4月は7537億ドルだった。

*内容を追加して再送します。

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