スズキ会長「会社に残って責任全う」、6月軽販売は前年上回る見込み

2016年6月29日(水)16時41分

[浜松市 29日 ロイター] - 燃費データの不正測定問題があったスズキの鈴木修会長は29日に開いた株主総会で、6月の軽自動車販売が28日までで「106%となっている」と述べ、前年同月比でプラスに転じるとの見通しを示した。また、同問題を受けて最高経営責任者(CEO)の職を返上したものの、会長職にとどまることについては「責任を全うするのが男として大切」と語り、株主に理解を求めた。

同社の燃費データの不正測定問題は5月18日に発覚。不正の影響があったとみられる5月は前年同月比15.4%減と落ち込んだが、6月は急回復する見込みだ。小型車など軽以外の登録車販売も「ソリオ」や「イグニス」などが好調で、鈴木会長は4―6月平均で前年同期比80%増、6月は28日までで163%増になっていると説明した。

鈴木会長に関しては、一部の株主から「CEOの辞退だけでは不十分。会長職も辞任すべき」との意見が出たが、同会長は企業経営において「責任を取って辞めることは無責任と考えている」と話し、「(社長就任から)37年間やってきて最悪の事態を迎えている。再発防止のために徹底的に会社に残って責任を全うすることが男として大切だ」と述べた。会長の回答に対して、株主からは拍手が沸き起こった。

ここ数年は毎年、株主総会に出席しているという浜松市の男性株主は「不正問題があったからか、会長は少し元気がなかったように見えた。謙虚にもう一度出直してほしい」と総会終了後に話していた。同市出身の女性株主は「総会が荒れると思って来てみたが、それほどでもなかった。むしろ応援していると思う。まだまだスズキは大丈夫。軽は庶民の足。安くて価値ある車をこれからも出し続けてほしい」と述べた。

スズキはOEM(相手先ブランドによる生産)を含む26車種について国が定める方法とは異なるやり方で燃費試験用データを測定していた。総会の冒頭、鈴木会長は不正問題について陳謝し、再発防止に取り組むことなどを説明した。

総会は本社のある浜松市内のホテルで開かれ、取締役や監査役の選任など4議案すべてが可決された。昨年より75人多い過去最多の642人が出席したが、所要時間は昨年より20分短い97分で終了、質問数も昨年より4件少ない5件だった。不正問題を受けて、鈴木会長がCEO職を返上したほか、株主総会の終結をもって技術担当の本田治副社長が退任した。

(白木真紀)

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