訂正:三菱UFJ、日立キャピタル出資に減損リスク 英EU離脱で

2016年6月28日(火)17時54分

[東京 28日 ロイター] - 日立キャピタルへの出資を決めている三菱UFJフィナンシャル・グループに、減損リスクが急浮上している。英国の欧州連合(EU)離脱決定に伴い、欧州での収益依存が大きい日立キャピタルの株価が大きく下がっているためだ。

三菱UFJが、買い受け価格を引き下げる可能性も出てきた。

三菱UFJと三菱UFJリース は5月、日立製作所 、日立キャピタルと、三菱UFJなどが日立キャピタルの株式27.2%(議決権ベース)を約1000億円で買い受けることを柱とする、資本・業務提携の締結で基本合意した。1株の買い受け価格は3400円で、譲渡は8月を予定している。

しかし、日立キャピタルの株価は、英国のEU離脱が決まった24日、前日終値2531円から2107円まで下落。さらに週明けの27日には、一時1753円まで急落した。

日立キャピタルは欧州での収益依存が大きく「業績へのインパクトを嫌気して売られた」(国内運用会社)という。28日終値は、1858円となっている。

三菱UFJの買い受け価格3400円に対応する減損ポイントは株価1700円となり、すでにギリギリの水準にまで下がっている。現在の価格で買い受け、9月末に1700円(訂正)を割り込めば、4―9月期決算で約500億円の減損損失の計上を余儀なくされる。

市場には「場合によって、株主代表訴訟の対象になりかねない」(銀行アナリスト)との見方もあり、三菱UFJが買い受け価格引き下げを含めた条件変更に踏み切るとの見方が出ている。

三菱UFJは、2008年に米銀モルガン・スタンレーに90億ドルを出資する際、発表後にモルガン・スタンレーの株価が急落したことから、減損を回避するために、一部普通株式での出資計画を優先株に変更した経緯がある。

三菱UFJの広報担当者は「個別の取引については、コメントを差し控える」としている。

*本文5段落目の「1700億円」を「1700円」に訂正します。

(布施太郎 編集:田巻一彦)

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